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F1とFIA国際自動車連盟は13日、2021年以降のF1レギュレーションの最終決定期限を10月末に延期することを発表した。F1とFIAは3月と4月にも同じように決定を遅らせており、延期されるのは今回が3度目となる。
規約は、新レギュレーションの施行18ヶ月前までにこれを確定させる義務を科しており、当初F1は2019年6月30日を最終期限としてチーム側と交渉を続けていたが、技術・スポーツ・財務と多岐にわたる項目を最終決着させる事が出来なかった。
同日パリで会合が行われ、FIAとF1、公式タイヤサプライヤーのピレリ、そして全10チームの代表とテクニカルディレクターが参加。更に、ドライバー側からルイス・ハミルトンとニコ・ヒュルケンベルグ、選手会会長のアレクサンダー・ブルツらが出席し、最終期限を2019年10月末日に延期する事を全会一致で可決した。
ルノー、マクラーレン、アルファロメオ、レーシングポイント、ウィリアムズの5チームは、期限の先送りはビッグチームに金額を上方修正する余地を与える事になりかねないとして、草案で提起されている年間1億7,500万ドル、日本円にして約189億3200万円の予算上限を最終決定案としない限り、今回の延期に同意することを拒否していた。
期限延期には全会一致の同意が必要であったため、これに反対するメルセデスやフェラーリを含む全チームが、予算上限及びその他の財務規則をこれ以上変更しない旨の書簡にサイン。その上で、会合に出席したメンバーが全会一致でレギュレーションの最終決定期限の延長に合意した。
予算案反対派が譲歩した格好だが、合意なき形でのルール策定は安全上の混乱等を招きかねないため、期限延長のために全会一致を取り付ける事はF1とFIAの責務であった。そのため、反対派は譲歩によってF1とFIAに貸しを作った形だ。
バジェット・キャップの事実上の決定によって、2021年にF1にエントリーするチームは、ドライバーの年俸や最高幹部の3名の給与、マーケティング関連費用やレース週末の旅費などを除いて、1億7500万ドルを上限とした予算での活動が義務付けられた事になる。テクニカル及びスポーティングレギュレーションに関する項目は、10月末まで議論が続けられる。
3強と言われるメルセデス、フェラーリ、レッドブルの年間予算は、推定3億から4億ドル(日本円にして326億円から434億円)、他のチームの予算は約1億ドルから2億ドル(109億円から218億円)程度と見られており、その差は2倍から4倍近くにも達する。
F1とFIAは声明の中で「主な利害関係者は、将来の規制における中核的目標が明確になりつつあると感じているものの、さらなる改良と追加的協議のためにより多くの時間を割く事が、このスポーツに最良の結果をもたらすだろう点で合意に至った」と述べた。