ホンダF1、アルボンのリタイヤは「ラジエーター破損によるパワーユニット異常」と田辺TD

ピットに入ったレッドブル・ホンダのアレックス・アルボン、2020年F1アイフェルGPcopyright Red Bull Content Pool

ホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクターは、10月11日(日)に行われたF1第11戦アイフェルGP決勝でのレッドブルのアレックス・アルボンのリタイヤの原因について「ラジエーター破損によってパワーユニットの異常が確認されたため」と説明した。

中古のソフトタイヤで5番手からスタートしたアルボンは、オープニングラップのターン1でタイヤをロックさせてしまい、ダニエル・リカルド(ルノー)に先行を許す6番手に後退。7周目にミディアムタイヤに履き替えると、16周目にはダニール・クビアト(アルファタウリ)をオーバーテイクする際に接触。クビアトのフロントウィングが脱落するアクシデントを引き起こした。

レーススチュワードはアルボンに非があるとして、5秒ペナルティと2点のペナルティポイントを科す裁定を下したが、ピエール・ガスリーとの攻防の中で再びフラットスポットを作った後にピットへと入ると、そのままガレージに収まりリタイヤした。

チームは「RB16のパワーユニットに問題が確認されたため」とのみ発表し、詳細は明かされなかったが、田辺TDは「トラック上のデブリによってラジエターが破損し、パワーユニットのデータに異常を確認したため、レースの途中でリタイアを決めました」と説明した。なお、クリスチャン・ホーナー代表は冷却性能が低下した事で「エンジン温度が上昇していた」と明かしている。

アルボンとの事故の影響で、クビアトはウイング交換を強いられただけでなく、ブレーキダクトとフロアにダメージを負った事でダウンフォースの低下に見舞われた。クビアトはパフォーマンスが落ちたマシンを何とか走らせるも、完走15台中15位という事実上の最下位でレースを終えた。レースを終えたクビアトは「アルボンとの事故でせいで僕のレースは台無しだ」とフラストレーションをぶちまけた。


フロントウイングの交換作業を行うアルファタウリのクルー

10月のニュルブルクリンクは寒く、ドライバー達は非常に難しいコンディションの中でのレースを強いられたが、マックス・フェルスタッペンはこの日も見事なドライビングで2位表彰台を掴み取った。

「今日のアイフェルGP決勝レースは、F1としては異例の10℃を切る低い外気温に加えて、路面温度も非常に低い中で行われました」と田辺TDは語る。

「レッドブル・レーシングのフェルスタッペン選手が予選3番手から着実な走りで2戦連続となる2位表彰台を獲得してくれました。ファステストラップの獲得も併せて、我々に力を与えてくれる表彰台だと感じています」


表彰台でシャンパンを飲むルイス・ハミルトン、マックス・フェルスタッペン、ダニエル・リカルド

順位 ドライバー チーム タイム
2 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダ 60 +4.470s 19
6 ピエール・ガスリー アルファタウリ・ホンダ 60 +22.766s 8
15 ダニール・クビアト アルファタウリ・ホンダ 60 +55.588s 0
NC アレックス・アルボン レッドブル・ホンダ 23 DNF 0

一方でメルセデスは今回も速さを見せ、ルイス・ハミルトンがトップチェッカーを受けて、7度のF1ワールドチャンピオン、ミハエル・シューマッハが持つ史上最多優勝記録に並んだ。

田辺TDは「ミハエル・シューマッハ選手が持つ91勝の最多勝利記録に並ぶという偉業を達成したハミルトン選手に、ホンダを代表しておめでとうの言葉を贈りたいと思います」と述べ、祝福した。

クビアトが不遇のレースを強いられた一方、ピエール・ガスリーはこの日も輝いていた。

田辺TDは「12番手からスタートしたスクーデリア・アルファタウリ・ホンダのガスリー選手は、激しい中段グループ戦いの中で何度もオーバーテイクを見せる強い走りを披露し、6位入賞を果たしました。ガスリー選手、チーム、そして我々にとって、この先の後半戦に向けて大きな励みになる結果でした」と振り返った。

次戦は2週間後の10月25日にアルガルベ・サーキットで決勝が行われるF1ポルトガルGPが控える。F1開催は今回が初。田辺TDは「当然ながら現行パワーユニットでの走行も初めてとなりますので、十分に事前準備をして臨みたいと思います」と語った。

F1アイフェルGP特集

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