アロンソがソフトに履き替えたのは”ネガティブな理由”に依るものだった…F1中国GPでの意表のタイヤ戦略
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2024年4月21日のF1中国GPではフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)のみが2回目のリスタートの際にソフトタイヤを選択したが、これは決して積極的な理由に依るものではなかった。
トップ10フィニッシャーはアロンソを除き、残り33周をノンストップで終えるべく全車がハードタイヤを選択した。更に言えば、このタイミングでハード以外のコンパウンドを選んだのはアロンソのみだった。
意表を突くこのタイヤ選択はネガティブな理由に依るものだった。
アロンソがレースに先立ち温存していた新品コンパウンドは、ハード1セットとミディアム2セットのみ。スタートタイヤにミディアムを使い、11周目にハードに履き替えたばかりのアロンソにはもはや、手持ちのハードがなかった。
そこでチームはやむを得ずアロンソにソフトを履かせ、残り13周でピットインを指示。新品ミディアムを履かせてコースに送り出した。
トップ10フィニッシャーの中で唯一の3ストッパーを強いられたアロンソは、最後のピットストップで5番手から12番手にまで転落したが、その後はフレッシュラバーのグリップ力を活かして7位でフィニッシュ。1分37秒810のファステストラップを刻んで1点のボーナスを加算した。
レース後、ソフトタイヤを選択するという「驚き」の戦略の意図について問われたアロンソは「ハードタイヤが1セットしかなくて、そのセットを使っている最中にセーフティカーが出たから、良いレースタイヤが事実上、使えなくなっちゃって、他に選択肢がなかったんだ」と説明した。
「次はもうスプリントレースをしないでタイヤを節約して、日曜にもっとレースができるようにしようかな。そうすれば変なペナルティを科される事もなくなるしね!」
19周で行われた前日のスプリントレースでアロンソは、カルロス・サインツ(フェラーリ)との攻防の最中に接触。リタイヤしたものの、責任を問われて無意味な10秒のタイムペナルティを受けた。
チーム代表を務めるマイク・クラックは今週末を「良いダメージ・リミテーション」と総括し、アロンソは「理想的ではなかった」としつつも「全体としては良い週末だった」と評した。
「本当にクレイジーなレースだった。レース中に色んな事が起こった。確かにスタートは良かった。最初の数ラップで2番手になったからね」とアロンソは語る。
「その後、セーフティカーが何回か出た事が戦略的に響いた。最後まで保たせるために中古のタイヤを節約しなきゃならなかったけど、結局保たず、もう一度ピットインすることになった」
「だから理想的ではなかったし、終盤にはほとんどクラッシュしかけたけど、ファステストラップを刻んで7位になった。だから全体としては良い週末だったと思う」
2024年F1第5戦中国GPではマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポール・トゥ・ウインを飾り、2位にランド・ノリス(マクラーレン)、3位にセルジオ・ペレス(レッドブル)が続く結果となった。
マイアミ・インターナショナル・オートドロームを舞台とする次戦マイアミGPは現地5月3日のフリー走行1で幕を開ける。