激震…7度のF1王者ルイス・ハミルトン、開幕を前にフェラーリ移籍発表! 解除条項発動で2024年末にメルセデスを離脱
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FIA-F1世界選手権に参戦するスクーデリア・フェラーリは2024年2月1日(木)、ルイス・ハミルトンとの契約を正式発表した。契約は2025年からの複数年で、7度のF1王者は僚友シャルル・ルクレールと共に真紅のレーシングスーツを身にまとう。
現在所属するメルセデスとの契約は2025年末までだが、39歳のイギリス人ドライバーは満了を1年残して解除条項により解除。2013年から11シーズン(2024年含まず)に渡って計6度の世界タイトルを勝ち取った英国ブラックリーのチームに別れを告げる。
発表では「複数年」とのみされており詳細な契約年数は不明だが、イタリアメディアの報道によると1年のオプション付きの2年契約との事で、少なくとも2026年まで、場合によっては2027年までマラネロのチームに留まる見通しだ。
今回の決断についてハミルトンは「13歳の時からメルセデスは僕の人生の一部だったし、成長させてもらった場所でもある。だからここを去るという決断は、これまでに経験した中で最も難しいものだった」と振り返った。
チーム代表兼CEOのトト・ウォルフは、いつかは別れの時が来ると覚悟していたとして、新たな挑戦を求めるハミルトンの決断を尊重し、この決定を受け入れたと語った。
ハミルトンが自身の決断をウォルフに知らせたのは1月31日(水)の朝のことだったとされる。その翌日の英国現地14時、メルセデスはチームメンバー全員を招集し、ミラノからオンライン参加したウォルフがこれを伝えた。
ハミルトンとフェラーリの契約に伴い、2024年にルクレールと共に「SF-24」をドライブする事が決まっているカルロス・サインツは契約更新の望みが絶たれた。新天地を模索する事になる。自身の今後のキャリアについてサインツは「追って発表されるだろう」と語った。
メルセデスからのハミルトン離脱を告げるアナウンスから20分、スクーデリアが発表した声明は、非常に短い次の一文のみだった。
「スクーデリア・フェラーリは、ルイス・ハミルトンが複数年契約で2025年にチームに加わることを発表でき嬉しく思う」
ハミルトンはメルセデスと共にこれまでに222戦を戦い優勝82回、ポールポジション78回、表彰台148回を記録。6回のドライバーズチャンピオンに輝いているが、新たなグランドエフェクトカー規定が導入された2022年以降は1度も勝利できていない。
骨を埋めるとしていた”ファミリー”を離れる決断を下した直前、ハミルトンはジュニア時代から深い親交があるマーク・ハインズをマネジメントチームに迎え入れ、自身のサポート体制に変化を加えた。
フェラーリ加入のちょうど1年後にF1は技術レギュレーションを刷新。次世代パワーユニットとシャシーが導入され、レッドブルが支配的な強さを誇る現在のチーム・ヒエラルキーは完全にリセットされる。
ハミルトンがマクラーレンからメルセデスに移籍した際も似通った状況だった。
V6ハイブリッド・ターボエンジン導入の2014年を1年後に控えた2013年シーズンを前に当時格下であったメルセデスに加わると、新時代到来と共に圧倒的な競争力を発揮し、歴史に残る一時代を築き上げた。
ハミルトンは2026年より始まる新たな時代で皇帝ミハエル・シューマッハを超える前人未到の8度目のワールドチャンピオン獲得を目指す事になりそうだ。
ハミルトンのメルセデス離脱によって2024年の”シリー・シーズン”が熱を帯びるのは間違いない。メルセデスは早々にハミルトンの後任探しに着手する必要があり、サインツは新天地を模索することになる。
空いたメルセデスのシートに対し、今季末限りでアストンマーチンとの契約が切れるフェルナンド・アロンソがどう反応するかも興味深い。レッドブルのセルジオ・ペレスやアルピーヌのピエール・ガスリーやエステバン・オコン、かつてのメルセデスドライバー、バルテリ・ボッタスや評価急上昇中のアレックス・アルボンも今季末で契約が終了する。
一方で長期契約を結んでいるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)、マクラーレンのランド・ノリスとオスカー・ピアストリ、そしてハミルトンの現チームメイトであるジョージ・ラッセルは一連の動きを傍観することになる。
シーズン開幕を前に1年先の契約が発表されるのは異例。それもハミルトンの電撃移籍とあって正式発表を前に報道は過熱し、この日のもう一つのビッグニュース、アンドレッティの参戦申請却下というF1にとってのネガティブな発表は瞬く間に過去の出来事へと変わった。