フェルスタッペンの見事な”ターン1”に偉大なミハエル・シューマッハを見た名将ロス・ブラウン
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F1の競技部門を率いるロス・ブラウンにとって、F1第18戦メキシコGPでのマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は偉大なる7度のF1ワールドチャンピオン、ミハエル・シューマッハを彷彿とさせるものだった。
不遇の予選を経て3番グリッドと、決勝を前に劣勢を強いられたフェルスタッペンだが、1周目のホームストレートでポールシッターのバルテリ・ボッタス及び2番手ルイス・ハミルトンとスリーワイドに持ち込み、ターン1で一気に2台を交わすと、その後は完璧なレース運びで後続に16秒以上の差をつけトップチェッカーを受けた。
ロス・ブラウンはそんな卓越したオーバーテイクを目の当たりし、F1史に輝く最強ドライバーの一人を思い浮かべた。シューマッハを語る上で、共にフェラーリ黄金期を作り上げたロス・ブラウンはこれ以上ない適任だ。
66歳の元フェラーリF1テクニカルディレクターは恒例のレース後コラムの中で、自身の中でのDriver of the Dayは3位表彰台に上がった地元の英雄、セルジオ・ペレスではなくフェルスタッペンだと綴った。
「この日のDriver of the Dayではチェコがエモーショナルな票を集めてトップに立つだろうが、私としては第1コーナーでのコントロール、セーフティーカーからの完璧なリスタート、そして誰にも接近させない走りを見せたマックスに軍配が上がる」
「レッドブルのボス、クリスチャン・ホーナーはレース後、マックスがスタート時の戦略を見極めるのに多くの時間を費やしたと語っていた。ミハエル・シューマッハがレース週末前の木曜日に、長い時間をかけてサーキットを歩いていた事を思い出すよ」
「彼はコーナーを観察して、もしもの場合の脱出ルートを確認していた。そうすれば大胆な動きをした際に安全に逃げられるかどうかを事前に把握しておく事ができ、いざという時に自信を持って対処できるからね」
「マックスはメキシコのターン1を徹底的に調べ上げ、自信を持ってそれをやってのけた」
結果としてターン1でのこの動きによってフェルスタッペンは今季9勝目を飾り、ドライバーズ・チャンピオンシップでのリードを19点に拡大したが、ロス・ブラウンはハミルトンとフェルスタッペンのどちらがタイトルを獲得するかを予想するのは時期尚早だと指摘する。
「まだ4レースが残っている。何が起きるかは分からない。チャンピオン争いはまだ終わっていない」
「2人ともがタイトル獲得するに相応しい、と誰かが言っていたけど、ある意味その通りだと思う」