速度違反と余計なストップ…ルクレール追撃の芽を奪ったのはフェルスタッペンの捨てバイザー、とフェラーリ
Published: Updated:
F1第14戦ベルギーGPでシャルル・ルクレール(フェラーリ)の追撃の芽を奪った捨てバイザーについてフェラーリのマッティア・ビノット代表は、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)のものだったと説明した。
僕のバイザーじゃなきゃ良いけど…、とフェルスタッペン
オープニングラップではフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)との接触によって失速したルイス・ハミルトン(メルセデス)を避けようと、何台かのマシンがグラベルにタイヤを落として走行した。
フェルスタッペンは巻き上げられたグラベルの埃の影響で視界が悪化し、ティアオフ=捨てバイザーを車体右側から投げ捨てた(オンボードで確認)。その背後を走っていたのはルクレールだった。
2周目のインシデントに伴い導入されたセーフティーカーラップの際、ルクレールは予定外のピットストップを強いられた。右フロントのブレーキダクトに引っかかった捨てバイザーを取り除くためだった。
これにより9番手から17番手にまで後退。大きくポジションを失った。なんとか5位フィニッシュをした後の無線でルクレールは「くそ捨てバイザーめ!」と連呼した。
ルクレールの最初のピットストップの原因が捨てバイザーだと知らされたフェルスタッペンは「知らなかったんだけど、さっきカルロス(サインツ)から聞いた。僕のものじゃない事を祈るよ」と語った。
「でも正直に言って誰もが捨てていたし、そんな事が起きるなんて兎に角、本当に不運な事だと思う」
「隊列の中を走行している時は起きやしないかと常に心配するものだけど、こういう事が起きるのはホント悪夢だよ。でも残念な事にそういう事が起きてしまった」
速度違反の原因も捨てバイザーか
だが、この捨てバイザーの影響はこれに留まらなかったようだ。
フェラーリ陣営は1ポイントでも多くを持ち帰ろうと最終盤にルクレールをピットに呼び、ソフトタイヤを履かせてコースに送り出した。ファステストラップ狙いの戦略だった。
だが、肝心の最速ラップが刻めなかったばかりか、ルクレールはピットインの際にレーンの制限速度違反を犯してしまい、チェッカー後に5秒ペナルティを受ける事となった。この結果ルクレールは5位から6位に降格した。
80km/h制限を僅か1km/hオーバーしただけであったが違反である事に変わりはない。
これについてルクレールは自らの非を認めたが、ビノットはダクトに引っかかった捨てバイザーによって生じたオーバーヒートにより速度計測センサーが故障したため、速度が正確に測定できていなかった可能性があると説明した。
英Autosportによるとビノットは「マックスの捨てバイザーによる右フロントのオーバーヒートの影響で故障したため、通常のスピード測定用センサーが使用できなかった」と語った。
「そのためリカバリー用を使用したのだが、それが正確ではなかったのかもしれない」
なお、ファステストラップ狙いのピットストップについてはフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)が「ビックリしたよ!フェラーリは毎回、訳の分からない戦略を採るよね」と笑い飛ばしていたが、ビノットは「改めて正しい判断だったと思う」と正当化した。
問題の捨てバイザーが本当にフェルスタッペンのものであったのかどうかはさておき、14番グリッドからの逆転優勝によってルクレールに対するディフェンディング・チャンピオンのリードは98ポイントにまで広がる事となった。
これはルクレールが4勝を挙げ、その全てでフェルスタッペンがリタイヤしたなお、ほぼイーブンというレベルの大差だ。ルクレールにとって残り8戦での逆転タイトルの可能性は限りなく狭まった。
8月28日(日)にスパ・フランコルシャンで行われた2022年F1第14戦ベルギーGPの決勝レースでは、14番グリッドのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季9勝目をマーク。2位にチームメイトのセルジオ・ペレス(レッドブル)、3位表彰台にカルロス・サインツ(フェラーリ)が滑り込む結果となった。
ザントフォールト・サーキットを舞台とする次戦オランダGPは、9月2日のフリー走行1で幕を開ける。