優勝候補マクラーレンとは対象的なレッドブルの「奇妙な選択」その理由を説明するフェルスタッペン
Published: Updated:
リアウイングを巡る選択はレースの明暗を分けるだろうか? 表彰台争いが期待されるレッドブルとマクラーレンはF1ベルギーGPに向けて対象的なセットアップを採用した。
RB20には初日フリー走行でテストされた2種類の内、ハイ・ダウンフォース仕様のリアウイングが装着された。一方でMCL38にはドラッグを抑えた「非常にスリム」なウイングが搭載された。
トップスピードが求められるセクター1・3と、ダウンフォースが要求されるセクター2という相反するセクションを備えるスパ・フランコルシャンで各チームは伝統的に、リアウィングの選択を巡るジレンマに直面する。
2024年大会に向けては路面の一部が再舗装されたため、これは例年以上に悩ましい問題かもしれない。
フェルスタッペンは雨のスパで行われた予選で最速を刻んだが、今季5基目のICE(内燃エンジン)の開封により10グリッド降格のペナルティを受けるため、レースに向けては11番グリッドに着く。
後方からの巻き返しが必要な状況で重めのリアウイングを装着するのは「奇妙な選択」だと見る向きもあると思うが…と問われたフェルスタッペンは「このウイングの方が自信が持てていい感じだったから、明日もそうなればと思ってね」と説明した。
「明日は気温も少し高くなるだろうし、当然、横滑りも少し増えるだろうから、この選択が僕にとって良い方向に働くことを期待している」
「例えばマクラーレンはかなりスリムなウイングを使っているよね。彼らにとっては上手く機能しているみたいだけど、昨日の僕にとっては上手くいかなかったんだ。だから、その意味でも少し戦略が違う」
「どう転ぶかは明日、分かるはずだ。僕は追い抜いていかなければならない立場だ。スパではDRSの効果がかなり大きいけど、結局のところ、ここではタイヤを上手く使うことの方が重要だと思う。タイヤを上手く使えれば追い抜けるからね」
この選択は当然ながら雨に見舞われた予選で上手く機能した。レッドブルが1-3を記録した一方、ダウンフォースを抑えたマクラーレン勢はランド・ノリスが5番手、オスカー・ピアストリが6番手に留まった。
「少し多めのダウンフォースを選んだことが今日の結果に影響したのは間違いないと思う」とフェルスタッペンは語る。
「シングルラップのペースはもちろん重要だけど、明日はタイヤを上手く使うことの方が重要だ」
「クルマのバランスに満足できていない状態であっても、最近の予選で僕らはかなり接近していると思う。でもレースでは時々、大きな差が出てしまうことがあったから、だから明日はタイヤで良い仕事をして競争力を確保することが重要だ」
フェルスタッペンは過去2大会でもスパでエンジン交換ペナルティを消化した。2022年は14番グリッドから、そして昨年は6番グリッドから逆転優勝を飾った。
ただ過去8戦でのトップチェッカーは3回と、今季のRB20に昨年や一昨年ほどの優位性はなく、フェルスタッペンは以前のようなレース展開にはならないとして、マクラーレンの勝利を予想した。
「彼らの昨日のロングランペースは信じられないほど速かった。本当に調子が良さそうに見える。少し後方からのスタートではあるけどかなりの速さがあるから、彼らはすぐにトップ争いに加わることになるだろうね」とフェルスタッペンは指摘する。
「もちろん1周目をどう切り抜けるかにもよるけど、僕としてはあのレースペースについていけさえすれば満足だ」
「スタートポジションは後方だし、周りの殆どのチームがハードタイヤを2セット持っている一方で僕らは持っていない。つまりタイヤ的にも戦略が違う」
「それが良いことなのかどうかは現時点では分からないけど、何にしても明日が僕らにとってダメージリミテーションのレースであることは確かだね」
2024年F1ベルギーGP予選では10グリッド降格を受けるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が最速を刻み、シャルル・ルクレール(フェラーリ)が昇格のポールポジションを獲得した。最前列2番グリッドにはセルジオ・ペレスが並ぶ。
決勝レースは日本時間7月8日(日)22時にフォーメーションラップが開始され、1周7004mのスパ・フランコルシャンを44周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。