MGU-Hだけでなくエンジン本体も損傷…ホンダF1、バーレーンGPで2台のマシンのエンジン交換を決定
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ホンダF1の田辺豊治テクニカル・ディレクターはバーレーンGPを直前に控えた4日、開幕オーストラリアGPで発生したエンジントラブルによって、MGU-Hのみならず内燃機関(ICE)本体もダメージを受けていたとの調査結果を発表した。
グリッド最後尾からスタートしたピエール・ガスリーは6周目に16位まで挽回してみせるも、13周目に突如エンジンがシャットダウン。再起動し辛うじてピットまで戻ったが、無念のリタイヤに終わった。
「メルボルンでのレース中にガスリー選手のPUのMGU-Hに発生したトラブルの影響はICEにも及んでおり、ダメージを受けている事が分かりました」と田辺。「そのため今回のバーレーンGPには、MGU-H、ターボ、ICEの3つのコンポーネントを交換して臨みます。MGU-Hとターボは、オーストラリアで抱えたトラブルの解析を行い対策を施したものを投入する予定です」
僚友ブレンドン・ハートレーのマシンにはトラブルはなかったものの、積んでいたMGU-Hは同一仕様であるため、ハートレー車もエンジン交換を実施するという。
「解析結果を踏まえて万全を期すため、今回はハートレー選手にもガスリー選手と同じMGU-Hとターボの投入を決定しました。年間で使用可能なPUが3基に制限されている中、2戦目で2基目のコンポーネントを投入することは非常に重い決断です。この先、同じことを繰り返すことが無いように開発を続けます」
熱エネルギー回生を司るMGU-Hとターボチャージャーは不可分であるため、再利用が可能か否かを問わずバーレーンでは交換が行われると見られていた。だが、事態はそれよりも更に深刻で、エンジン本体にも損傷があった事が明らかとなった。
異常をきたしたMGU-H(熱エネルギー回生システム)は、今季レギュレーションで年間3基までの使用が義務付けられており、これを超える交換を実施した場合、グリッド降格ペナルティが科せられる。今回の投入は2基目であるため、バーレーンでペナルティを受ける事はないものの、シーズンのいずれかの段階での4基目投入は避けられない見通しだ。
本来はエンジン1基あたりで7レースを戦う必要があるにもかかわらず、残り20戦もある序盤での2基目のコンポーネントの投入はこれ以上ない痛手。ドライバーからすれば受け入れ難い苦痛と言える。
「開幕までは非常にいい流れで来ていただけに、チームやファンの期待を裏切るような結果になったことはとても残念に思っています。ここ、バーレーン・インターナショナル・サーキットはPUにとってタフな環境ですが、一歩一歩、進化を見せられるよう、まずは目の前の戦いに挑みます」