ルクレールがPP!悪夢ベッテルを尻目にレッドブル・ホンダが3番手 / F1オーストリアGP《予選》結果とダイジェスト
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2019年F1世界選手権 第9戦オーストリアGP公式予選が6月29日にレッドブル・リンクで行われ、スクーデリア・フェラーリのシャルル・ルクレールが1分3秒003のコースレコードを樹立し、キャリア通算2度目のポールポジションを獲得した。
2番手はメルセデスAMGのルイス・ハミルトン。ルクレールとのギャップは0.259秒と、大きな差がついた。敗因についてドライバー達は「フェラーリのストレートスピードが速すぎた」と語り、チーフレースエンジニアのアンドリュー・ショブリンは、原因は不明ながらも、W10の強みであるコーナリングでのアドバンテージが失われていたと語った。
3番手にはレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが続き、2年連続優勝に向けて好位置につけた。セバスチャン・ベッテルは予選Q3でエンジン関連のトラブルに見舞われ、一度もタイムを計測できず10番手でクルマを降りた。
スチュワードは、予選Q1でのハミルトンのキミ・ライコネンに対する走行妨害の一件を審議し、セッション終了後に3グリッド降格ペナルティーを科す裁定を下した。これにより、決勝ではフェルスタッペンがフロントロウに並ぶ事となり、ホンダにとっては2006年サンマリノGP以来13年ぶりの最前列となった。
© Getty Images / Red Bull Content Pool、2019年F1オーストリアGP予選でトップ3に並んだルクレールとハミルトンとフェルスタッペン
ミッドフィールド最速の5番手を獲得したのはハースのケビン・マグヌッセン。タイヤをスイートスポットに入れ込めず、浮き沈みの激しい週末を過ごしていたが、重要な局面で見事な走りを見せ、6番手につけたマクラーレンのランド・ノリスを1000分の27秒差で退けた。
これに続いたのはアルファロメオの2台。キミ・ライコネンが7番手、アントニオ・ジョビナッツィが8番手に並びダブルQ3進出を果たしたのみならず、三強の一角レッドブル・ホンダの1台を食ってみせた。
チームメイトが3番手のサプライズを披露した一方で、ピエール・ガスリーはトップから1.2秒遅れの9番手。5番手マグヌッセンまでが僅かコンマ1秒という接戦だったとは言え、フェルスタッペンとのギャップは0.76秒。非常に厳しい状況に追い込まれた。
トロロッソ・ホンダ勢は、エンジン交換に伴うグリッド降格が決定しているアレックス・アルボンが13番手。ダニール・クビアトは不運なトラフィックに見舞われた事もあり、18番手でQ1敗退を喫した。
午前のFP3に引き続き現地シュピールベルクは晴れ、決勝のスタートグリッドを決する争いは気温29℃、路面52℃、湿度28.4%のドライコンディションでスタートした。公式タイヤサプライヤーのピレリはハードにC2、ミディアムにC3、ソフトにC4コンパウンドを投入。Q3進出者に追加提供されるコンパウンドはソフトタイヤが指定された。
前日は強風と縁石によるコーションが相次いだが、予選ではコース上に大きなアクシデントは発生しなかった。
予選Q1:クビサとストロールが対チームメイト全敗記録を更新
レッドブル・リンクはカレンダーの中で1周のラップタイムが最も短く、エントリーした全20台で争われる予選第一ラウンドのQ1では、トラフィック管理が鍵を握る事となった。サインツ、アルボン、マグヌッセン、ヒュルケンベルグの4名は、各々エンジンないしはギアボックス交換に伴うグリッド降格が決定している中で勝負に挑んだ。
フェラーリとレーシングポイントは1セット目にミディアムを選択。1回目のアタックを終えてルクレールがトップ、ベッテルが2番手に続き、ライコネン、クビアト、ストロール、ラッセル、クビサがノックアウトゾーンに沈んだ。
クビアトはラストアタックでセクター2まで自己ベストを繋いでいたものの、最終2つのコーナーでウィリアムズのジョージ・ラッセルを含む3台のトラフィックに引っかかり大きくタイムをロス。18番手でQ1敗退を喫した。とは言え、全セクターを自己ベストで繋いだとしても1分4秒959。17番手のランス・ストロールを交わす事は出来なかった。
一件は審議の対象となり、クビアトの走行を妨害したとして予選終了後にラッセルに対して3グリッド降格の裁定が下った。
トップ通過は、メルセデスの2台を抑えたフェルスタッペン。ウィリアムズのロバート・クビサとレーシングポイントのランス・ストロールは、9戦連続でチームメイトに敗れた。
ノックアウト
- セルジオ・ペレス
- ランス・ストロール
- ダニール・クビアト
- ジョージ・ラッセル
- ロバート・クビサ
予選Q2:戦略別れたレッドブル・ホンダ
5台が脱落し残る15台のマシンが挑んだQ2では、メルセデスの2台とレッドブル・ホンダのフェルスタッペンの3台がミディアムでコースイン。決勝でのスタートタイヤでアドバンテージを得るために、他車とは異なる戦略を選んだ。
フェルスタッペンは1発で3秒台に入れ込み3番手。メルセデス勢は2回アタックを行い、それぞれ4・5番手でQ2突破を果たした。いずれもスタートで優位な立場を築いた格好だが、フェルスタッペンの方が3周ほどフレッシュな状態でグリッドに付く事になる。
1セット目のアタックを終えてノックアウトゾーンに沈んだのはグロージャン、ヒュルケンベルグ、アルボン、リカルド、サインツ。いずれも2回目の計測でトップ10に入れ込めず、Q2ノックアウトと相成った。グロージャンはソーセージ縁石でフロントウイングを破損。交換を強いられた。
ガスリーはフェルスタッペンとは異なりソフトタイヤで6番手通過。ランド・ノリスは、降格が決まっている僚友サインツの協力を得て、スリップストリームの恩恵を活かして9番手で突破した。
ノックアウト
- ロマン・グロージャン
- ニコ・ヒュルケンベルグ
- アレックス・アルボン
- ダニエル・リカルド
- カルロス・サインツ
予選Q3:ベッテルに悪夢のアクシデント
トップ10グリッドを決する予選最終ラウンドのQ3では、ベッテル側のガレージにトラブルが発生。当初縁石によるフロア破損が疑われていたが、チームはエアプレッシャーラインに問題があったと明かした。既にクルマはパルクフェルメ下であったため、FIA立ち会いのもと急ピッチで作業が進められたが、修復のためにはボディーワーク全体を外さなければならず、ベッテルはタイム計測をすることなくクルマを降りた。
1回目のアタックを終えてタイムシートはルクレール、ボッタス、フェルスタッペンの順に並び、フェラーリがポール争いでまずは一歩先行した。
最終アタックではベッテルを除く全9台が一斉にコースイン。自己ベストを塗り替えたハミルトンが2番手に浮上したことでフェルスタッペンが一時4番手に後退するも、最終的に全セクターで自己ベストを繋いでボッタスを上回り3番手を獲得した。ルクレールは全セクター最速でのポールポジションだった。
F1オーストリアグランプリ決勝レースは、日本時間6月30日(日)22時10分からスタート。1周4381mのレッドブル・リンクを70周する事でチャンピオンシップを争う。
2019年F1第9戦オーストリアGP予選リザルト
Pos | No | Driver | Team | Q1 | Q2 | Q3 | Laps |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 16 | ルクレール | フェラーリ | 1:04.138 | 1:03.378 | 1:03.003 | 19 |
2 | 44 | ハミルトン | メルセデス | 1:03.818 | 1:03.803 | 1:03.262 | 27 |
3 | 33 | フェルスタッペン | レッドブル | 1:03.807 | 1:03.835 | 1:03.439 | 18 |
4 | 77 | ボッタス | メルセデス | 1:04.084 | 1:03.863 | 1:03.537 | 25 |
5 | 20 | マグヌッセン | ハース | 1:04.778 | 1:04.466 | 1:04.072 | 20 |
6 | 4 | ノリス | マクラーレン | 1:04.361 | 1:04.211 | 1:04.099 | 19 |
7 | 7 | ライコネン | アルファロメオ | 1:04.615 | 1:04.056 | 1:04.166 | 23 |
8 | 99 | ジョビナッツィ | アルファロメオ | 1:04.450 | 1:04.194 | 1:04.179 | 22 |
9 | 10 | ガスリー | レッドブル | 1:04.412 | 1:03.988 | 1:04.199 | 18 |
10 | 5 | ベッテル | フェラーリ | 1:04.340 | 1:03.667 | 9 | |
11 | 8 | グロージャン | ハース | 1:04.552 | 1:04.490 | 18 | |
12 | 27 | ヒュルケンベルグ | ルノー | 1:04.733 | 1:04.516 | 12 | |
13 | 23 | アルボン | トロロッソ | 1:04.708 | 1:04.665 | 15 | |
14 | 3 | リカルド | ルノー | 1:04.647 | 1:04.790 | 12 | |
15 | 55 | サインツ | マクラーレン | 1:04.453 | 1:13.601 | 12 | |
16 | 11 | ペレス | レーシングポイント | 1:04.789 | 8 | ||
17 | 18 | ストロール | レーシングポイント | 1:04.832 | 9 | ||
18 | 26 | クビアト | トロロッソ | 1:05.324 | 8 | ||
19 | 63 | ラッセル | ウィリアムズ | 1:05.904 | 12 | ||
20 | 88 | クビサ | ウィリアムズ | 1:06.206 | 11 |
コンディション
天気 | 晴れ |
---|---|
気温 | 29℃ |
路面温度 | 52℃ |
セッション概要
グランプリ名 | F1オーストリアGP |
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セッション種別 | 予選 |
セッション開始日時 |
サーキット
名称 | レッドブル・リンク |
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設立 | 1969年 |
全長 | 4318m |
コーナー数 | 10 |
周回方向 | 時計回り |