F1の契約はパワポのプレゼンで勝ち取る時代!?ウィリアムズのシートを得たジョージ・ラッセルの驚きの営業手法
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来季ウィリアムズのシート獲得を電撃発表したジョージ・ラッセルは、F1での契約を獲得するためにビジネスマン御用達の「パワーポイント」を使ってプレゼンしていたようだ。ウィリアムズの最高技術責任者を務めるパディ・ロウが、英Autosportに対して明らかにした。
イギリス出身の20歳ラッセルは、ランス・ストロールの後任として2019シーズンのウィリアムズのシートを掴み取り、夢に描いたF1デビューを果たす事が決定している。チームとの交渉に際しては自らパディ・ロウに電話をかけ、クレア・ウィリアムズ副代表とのアポを取りつけるなど、積極的な”営業”をかけた事が知られている。
だがパディー・ロウによれば、昨年はよりアクティブな手法で契約を得ようとしていたようだ。
「彼は一年前に私のところに来て、パワーポイントでプレゼンテーションしたんだ」とパディ・ロウ。「何故自分が我々ウィリアムズにとってベストなドライバーなのかを説明するためにね」
「未だかつてそういったプレゼンは見たことがないよ」
パワーポイント(PowerPoint)は、マイクロソフト社が開発・販売しているプレゼンテーション用のソフトウェアの事で、エクセルやワードといったMicrosoft Officeのアプリの1つ。提案書や企画書など、クライアント向けの資料を作る際等に用いられ、ビジネスマン必須スキルの一つとなっている。
営業マンの為のプレゼン資料必携ソフト、パワーポイント
残念ながらパワポ営業で2019年の契約を得る事はできず、そのシートはセルゲイ・シロトキンの手に渡る事となったが、交渉の主導権を握ろうとする積極的な姿勢はパディ・ロウの心を強く掴んだようだ。
「彼は自分の将来を自らの手で勝ち取ろうと、イニシアチブを発揮した。彼がこうして来年の契約を掴み取った理由の一つはそこにある」
「当時はまだF1を走るにはちょっと早いと考えたんだ。今年彼がF2で過ごした事は良いことだと思う。一年前はジョージがF1の事を考えるにはあまりにも時期尚早だったからね」
ラッセル本人によれば、今年の交渉ではパワーポイントを使用しなかったものの、ウィリアムズを口説き落とすために特別な資料を持参したのだという。
「単なる履歴書じゃなくて、自分の性格を詳しく説明したり、自分がチームにどういった貢献が出来るかを説明しようとしたんだ。例えばそれは僕のオープニングラップでの統計データとか、どの位勝って負けてきたとか、そういった感じでね」
「会議室から出た後に、彼らが後から僕の事を異なった角度から振り返れるようにしたかったんだ」
今や、ビジネスSNSのLinkedinを利用して転職活動に役立てているF1関係者も少なくなく、使えるツールを積極的に使うのはドライバーとて同じこと。以前は自分のWEBサイトを持っている若手ドライバーは数限られていたが、今では多くが自身のサイトを持ち、内外に向けて情報を発信している。
これからの時代のF1ドライバーには、パワポだけでなくエクセルを駆使して自身の過去の統計データを作れるようなスキルも必要となるのかもしれない。。
人は”ハウツー”を求めたがるものだが、自律した人間は自分の頭で考え抜き、必要と判断した事を前例や周りを気にすることなく実行する。業界や時代を問わず、自ら思考し自ら行動する者は夢を掴み取る。来シーズンのジョージ・ラッセルの活躍が一層楽しみになってきた。