ピット白線越えも調査すらせず…サインツがラスベガスGPでペナルティを科されなかった理由

ラスベガス市街地コースのピットレーンを走行するカルロス・サインツ(フェラーリ)、2024年11月22日(金) F1ラスベガスGP予選Courtesy Of Ferrari S.p.A.

カルロス・サインツ(フェラーリ)がピットエントリーの白線を越えたにも関わらず、F1ラスベガスGPのスチュワードは、ペナルティを科すどころか、調査すらしなかった。

サインツは27周目にボックスの指示を受けてピットエントリーを走行していたが、交換の準備が整っていないとの理由で突如、ステイアウトするよう命じられ、白線を乗り越えてコースに戻った。

その背後を走行していたルイス・ハミルトン(メルセデス)は、無線を通してサインツが規則違反を犯したとアピールしたが、一件が調査されることはなかった。

白線を横切ってペナルティが科されるケースは決して珍しいものではない。

例えば角田裕毅は2021年のオーストリアGPで、2度に渡ってピットエントリーの白線を跨いでピットレーンに進入し、計10秒のペナルティを受けた

しかしながら、今回のケースはレギュレーション違反には該当しないものだった。

FIA国際競技規則(ISC)は付則L項第4章第4条 d) において、「略) ピットレーンに進入する車両のタイヤの一切は、如何なる方向であっても、ピットレーンに進入する車両とコース上の車両とを分離する目的でコース上に引かれた一切のラインを横断してはならない」と規定している。

サインツが白線を越えてコースに戻ったのはリプレイ映像からも明白だが、ピットエントリーには進入したものの、ピットレーンには進入していないため、当該規定の対象外と考えられる。

ピットエントリー(正確にはピットエントリー・ロード=ピット進入路)とは、レースディレクターからの指示がない限り、第1セーフティーカーラインとピットレーン開始地点との間の区間を指す。以下の画像の左側の黄色のラインが、ラスベガス市街地コースのピットエントリーに該当する。

copyright FIA

ラスベガス市街地コースのピットエントリー・ロード(ピット進入路)とピットレーン、ピットエグジット・ロード(ピット出口路)、2024年F1ラスベガスGP

なお、角田裕毅が1レースの間に2回に渡って白線を越えた先のケースについては、グランプリ毎にレースディレクターが指示を出す「イベントノート」に関する違反であり、F1競技規則やISCに関する違反ではなかった。

当時のイベントノートには「白線の右側を通ってピットレーンに進入せよ」との指示が記載されていた。

なお、ニールス・ヴィティヒに代わってルイ・マルケスが初めて仕切った今回のラスベガスGPのイベントノートに同様の記載はなかった。

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