ピット白線越えも調査すらせず…サインツがラスベガスGPでペナルティを科されなかった理由
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カルロス・サインツ(フェラーリ)がピットエントリーの白線を越えたにも関わらず、F1ラスベガスGPのスチュワードは、ペナルティを科すどころか、調査すらしなかった。
サインツは27周目にボックスの指示を受けてピットエントリーを走行していたが、交換の準備が整っていないとの理由で突如、ステイアウトするよう命じられ、白線を乗り越えてコースに戻った。
その背後を走行していたルイス・ハミルトン(メルセデス)は、無線を通してサインツが規則違反を犯したとアピールしたが、一件が調査されることはなかった。
白線を横切ってペナルティが科されるケースは決して珍しいものではない。
例えば角田裕毅は2021年のオーストリアGPで、2度に渡ってピットエントリーの白線を跨いでピットレーンに進入し、計10秒のペナルティを受けた。
しかしながら、今回のケースはレギュレーション違反には該当しないものだった。
FIA国際競技規則(ISC)は付則L項第4章第4条 d) において、「略) ピットレーンに進入する車両のタイヤの一切は、如何なる方向であっても、ピットレーンに進入する車両とコース上の車両とを分離する目的でコース上に引かれた一切のラインを横断してはならない」と規定している。
サインツが白線を越えてコースに戻ったのはリプレイ映像からも明白だが、ピットエントリーには進入したものの、ピットレーンには進入していないため、当該規定の対象外と考えられる。
ピットエントリー(正確にはピットエントリー・ロード=ピット進入路)とは、レースディレクターからの指示がない限り、第1セーフティーカーラインとピットレーン開始地点との間の区間を指す。以下の画像の左側の黄色のラインが、ラスベガス市街地コースのピットエントリーに該当する。
なお、角田裕毅が1レースの間に2回に渡って白線を越えた先のケースについては、グランプリ毎にレースディレクターが指示を出す「イベントノート」に関する違反であり、F1競技規則やISCに関する違反ではなかった。
当時のイベントノートには「白線の右側を通ってピットレーンに進入せよ」との指示が記載されていた。
なお、ニールス・ヴィティヒに代わってルイ・マルケスが初めて仕切った今回のラスベガスGPのイベントノートに同様の記載はなかった。