F1から撤退する一方でホンダがインディカーでのエンジン供給を継続する理由

2020年インディ500ポールシッターのマルコ・アンドレッティのマシン後部copyright Indycar

同じハイブリッドエンジンにも関わらず、F1を撤退する一方でホンダがインディカー・シリーズに長期コミットする決断を下したのは何故なのか?

ホンダは先週、カーボンニュートラル達成のためにF1部門のリソースを再配置すべく2021年末を以てF1を去ると発表したが、米国におけるホンダのモータースポーツ拠点であるホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント(HPD)はその翌日に、インディカー・シリーズとの複数年の契約延長に合意した事を明らかにした


© Indycar / ホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント(HPD)のテッド・クラウス社長

HPDは昨季の段階で既にハイブリッド時代のインディカーへの参戦を表明しているため、今回のアナウンスにニュース性はない。F1からの撤退というネガティブな話題に引きずられる事を懸念したインディカー側が、シリーズの安定性を強調すべく改めて発表を行ったものと見られる。

インディカーは現在、2.2リッターV6ツインターボを使用しているが、2023年に新たに2.4リッターV6ツインターボ・ハイブリッドエンジンを導入する。MGU-Hという高価極まりない熱回生エネルギーシステムがないという大きな違いはあれど、ハイブリッド技術という大きな枠組みでは同じ。しかしながらホンダが撤退を決断したのはF1のみであった。何故なのか?

F1アイフェルGPのFIA金曜記者会見に出席したホンダF1の山本雅史マネージング・ディレクターは「インディカーに関する仕事はHPDが担当していますが、これはアメリカ国内におけるホンダからの独立した組織です」と述べ、HPDの立ち位置を明らかにした上で、人材の再配置が理由の一つだと説明した。

ホンダのF1プロジェクトは、栃木県に位置するHRD-Sakuraと英国ミルトンキーンズの2つのファクトリーで運営されている。日本でF1活動に従事しているエンジニアは、カーボンニュートラル達成のためプロジェクトに再配置される事になるが、HPDで働くアメリカのエンジニアはこれには含まれない、というのが理由の一つのようだ。


© Red Bull Content Pool / F1アイフェルGPの金曜会見に出席した山本雅史MDとクリスチャン・ホーナー代表

F1は昨年の段階で既に、2030年までにカーボンニュートラルを実現させる方針を打ち出しているが、ホンダのそれは2050年までと、F1よりも20年も遅い。一見すると ホンダが目標を達成するにはF1で技術開発を継続した方が理に適っているように思われるが、山本MDはこの点について次のように説明した。

「もちろん、FIAとF1が今後導入しようとしているレギュレーションについて尊重しています。カーボンニュートラルという全体的な目標に関して言えば、我々は同じ方向に進んでいると思いますが、ホンダは世界中に自動車製品やオートバイ、汎用製品の顧客を持つ企業です。そのため将来のカーボンニュートラル製品の開発のために、早い段階でトップエンジニアを異動させる必要がありました」

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