募るオフィシャル不信、途中退席のベッテルは一体何に不満を爆発させたのか?

テレビインタビューに応じるセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)、2022年6月18日F1カナダGPCourtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)は何故、F1オーストリアGPの初日ドライバーズ・ブリーフィングを途中退席したのだろうか? 一体、何に対して「不満をあらわ」にしたのだろうか?

スチュワードは4度のF1ワールドチャンピオンに、執行猶予付きで2万5,000ユーロ(約346万円)の罰金を科す裁定を下した。レースディレクター主催の全ドライバー及びチームマネージャーを召集しての定例会合の中での「振る舞い」がレギュレーション違反と判断された

Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)、2022年7月7日F1オーストリアGP

ベッテルと同じくGPDA理事を務めるジョージ・ラッセル(メルセデス)によると、金曜のミーティングでは、オフィシャルによる一貫性のない意思決定について説明を求める声が多く上がったと言う。ベッテルはその中の一人とみられている。

BBC Sportによるとベッテルは、こうした話し合いを「15年間」続けてきた事に触れて「うんざりしている」と述べた後に会場を後にしたという。またこの会合は議長を務めるニールス・ヴィティヒにとって「不快」なものだったとも伝えている。

ラッセルによると今回の争点は、シャルル・ルクレール、セルジオ・ペレス、ルイス・ハミルトン、マックス・フェルスタッペン、そしてミック・シューマッハが関わった前戦イギリスGPの終盤のバトルの際にスチュワードが示したルール解釈についてだった。

ペレスはシケインをカットした後にルクレールを交わし、ハミルトンはそんな両者をパス。その後、ペレスはハミルトンを抜き返して2位フィニッシュを飾った。スチュワードは当該インシデントを検証した後、お咎めなしの裁定を下した。

Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

メルセデスW13に乗り込むジョージ・ラッセル、2022年7月9日F1オーストリアGP

ラッセルは「先週のシルバーストンでの決勝におけるトラック・リミットであれ、ディフェンスであれ、今シーズンは境界線が曖昧な決定が多く続いている」として、ドライバー達は一貫性を求めていると説明した。

一貫性が欠如している理由の一つとしてラッセルは、今年からレースディレクターが2名体制となり、レース毎に担当が入れ替わる事となった点を上げて「僕はレースディレクターを一人に絞る必要がある事に賛成だ」と語った。

更に、4名から成るスチュワードが各大会毎にバラバラな点に触れて「次の大会になると、前の大会のスチュワードがいない事も多く、説明責任も決定に関する説明もあったもんじゃないんだ」とも語った。

「質問を投げかけても、その場にいない誰かの責任を問うようなものだから、なかなか答えが返ってこない。厄介だよ。各々の解釈がバラバラなんだ」

「レースディレクターが一人だった時は、一貫性があった」

FIAは昨年の最終アブダビGPでの物議を経てマイケル・マシを解任すると共に、ニールス・ヴィティヒとエドゥアルド・フレイタスの2名を新たなレースディレクターに任命した。

ベッテルの「振る舞い」は一つの例に過ぎず、アンダーウェアやジュエリー着用に関する騒動、そしてオーストリアGPの初日予選Q2におけるセルジオ・ペレス(レッドブル)のトラック・リミットが予選後に審議された事など、ドライバー達はレース審判に関する不満を募らせている。

F1オーストリアGP特集

この記事をシェアする

関連記事

モバイルバージョンを終了