フェルスタッペン、F1報道の「イギリス偏向」を指摘…批判にさらされてなお動じぬ強靭なメンタル。2つの要因

記者会見に出席する2位のマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2024年7月7日(日) F1イギリスGP(シルバーストーン・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

FIA-F1世界選手権に関わる報道についてマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、メディア関係者の8割以上がイギリス人であるとして、英国人ドライバー贔屓となる傾向があると指摘した。

F1報道は「偏っている」

英国出身のランド・ノリス(マクラーレン)とのオーストリアGPでの接触を経て、主要かつ権威的と考えられている幾つかのイギリスのメディアは意見記事の中で、規制強化を訴えるなど、フェルスタッペンに対する非難を声高に主張した。

印象的だったのは、そのいずれもが今回の事故それ自体より、2021年のルイス・ハミルトン(メルセデス)とのタイトル争いにおけるドライビングなど、周辺文脈に遥かに焦点を当てていた点だ。

後にノリス自身が認めたように、事故そのものは「ごくわずかな接触」があっただけに過ぎず、横転したわけでも、高速でクラッシュしたわけでも、一方が病院に搬送される事態に至ったわけでもなかった。

Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

レッドブル・リンクのターン4でポジション争いを繰り広げるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とランド・ノリス(マクラーレン)、2024年6月29日F1オーストリアGPスプリント

F1デビュー当初から幾度となく批判や物議の対象となってきた26歳のオランダ人ドライバーは、自身が悪役扱いされるのはF1のイギリス偏重報道が一因だと考えているようだ。

英メールオンラインに対してフェルスタッペンは「F1における報道の80〜85%はイギリス人によるものだ。つまりかなり影響力がある」と語った。

「そのほとんどは心の奥底で自国のドライバーの活躍を望んでいるし、何か事件が起こった場合には自然と自国のドライバーの側につく」

「ドライバーの殆どがイギリスから輩出されてきた。だから少し偏っている」

現役ドライバーから同様の指摘が飛ぶのは今回が初めてではない。スペイン出身のフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)は度々、F1に関する報道がイギリスに偏ったものになりがちだと指摘してきた

グリッドに着く全10チームのうち、7チームはイギリスを拠点としており、ジャーナリストやテレビクルーの多くも英国出身者が占める。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

ガレージに入るマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2024年7月6日(土) F1イギリスGP予選(シルバーストーン・サーキット)

強靭なメンタル、2つの要因

自身が不条理だと感じる批判にさらされてなお、我が道を往く3度のF1ワールドチャンピオンが動じないのは、例えそれが自身を肯定的に評価するものであったとしても、価値判断を赤の他人に委ねないスタンスに依るところが大きい。

「他の誰かが僕を批判したり、好意的に言ったりしようとも、僕はそれに耳を傾けたりはしない」とフェルスタッペンは言う。

「僕が自分自身のパフォーマンスを評価するために耳を傾けるのは、自分のチーム、そして僕の成功に携わっている人たちの意見だけだ」

「誰もが各々、自分の意見を持つものだし、それについては構わないけど、それが僕のコース外での生活やコース上での振る舞いに影響することはない」

Courtesy Of Red Bull Content Pool

3度目のF1ワールドチャンピオン獲得を経てピットレーンで写真を撮るレッドブルのマックス・フェルスタッペンとレースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼ、2023年10月7日(土) F1カタールGPスプリント(ロサイル・インターナショナル・サーキット)

強靭なメンタルを形作るのは、尺度を他人に委ねないというスタンスだけでなく、生まれ育った環境による部分もある。

最終的には調査を経てレッドブルGmbHにより退けられたものの、今シーズンの開幕に先立っては女性従業員を巡るチーム代表のクリスチャン・ホーナーに関するスキャンダルが世間を騒がせた。

これは単にホーナーの去就問題に留まらず、権力闘争を含むチーム内紛争の引き金を引いた。

フェルスタッペンの恩師、レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコはチーム離脱の危機にさらされ、フェルスタッペンの父、ヨスはホーナーに対する好戦的な態度を強めた。

結果、フェルスタッペンは自身がパフォーマンスを発揮しなければならないグランプリの週末に繰り返し、騒動に対する同じような質問を何度も受け、それに答え続けなければならなかったが、こうした混乱でさえフェルスタッペンのメンタルに対する影響は限定的だった。

自身の母クンペンに対する脅迫により父ヨスが執行猶予付き判決を受けたのはフェルスタッペンが11歳の時だった。幼少期に両親が離婚したフェルスタッペンは「僕が育った環境上、こういったことが僕を動揺させることはない」と語る。

「僕にとっては、これらは些細な問題だ。背後で何かが起こっているとしても、僕はレースに集中し、自分のパフォーマンスを最大限に引き出す方法を心得ている」

「そうは言っても、友好的な環境があるのはいいことだ。年初には誰もが話題にしていたけど、今では間違いなく遥かに改善された」

「この前のレース(オーストリアGP)のことだって、時間が経てば解決すると確信してるし、感情的になりすぎないことが大切だと思う」

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