質問殺到…角田裕毅、物議のオーダー「理解」と「尊重」レッドブル昇格には”2歩以上”の自制心改善が必要
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開幕バーレーンGPでの僚友ダニエル・リカルドとの騒動について角田裕毅(RB)は、オーダーを発動したチームの考えを理解したと述べると共に、レッドブルへの昇格を目指す上で自制心を養う必要があると認めた。
角田裕毅は予選での4ラン全てでリカルドを上回る実に見事な走りを披露し、11番グリッドに着いたものの、レースでは戦略に足を引っ張られてポジションを落とし、終盤に向けてケビン・マグヌッセンと12番手を争う状況を強いられた。
ピットウォールは、より柔らかいソフトタイヤを履くリカルドに道を譲るよう角田裕毅にチームオーダーを飛ばした。遅ればせながらしぶしぶ指示に従った角田裕毅は、チェッカーフラッグ後のクールダウンラップでチームメイトを煽るかのように走行し、リカルドに「未熟」と指摘された。
物議のチームオーダー「理解」と「尊重」
第2戦サウジアラビアGPの開幕に先立ち行われた会見は、異例と呼ぶに相応しいほど、角田裕毅に質問が集中した。
バーレーンでのリカルドとの「スパイシー」な出来事について問われた角田裕毅は「そうですね…レース後にチーム全員で話し合いました。今でもチームは団結していますし、お互いに理解しています。なので、、そんな感じです」と答えた。
チームオーダーについては、当時は不満を感じて感情的になってしまったと認めたが、レース後の会議を経て今は「チームの考えを理解しています。結局のところ、簡単なレースではありませんでした」と説明した。
角田裕毅はチームオーダーの背景にあるチームの言い分を「理解」し、その決定と考えを「尊重」していると言うが、心の底から完全に”納得”しているわけではなさそうだ。
そもそもRBはポイント獲得の可能性が乏しい状況でなぜ、チームオーダーを発動したのか? 本当に必要な指示だったのか? と問われた角田裕毅は、これに直接的に答えることはなく、困った様子を見せ、苦笑いを浮かべながら次のように説明した。
「…ええと、僕とダニエルとは戦略が違っていたと思います。彼は新しいタイヤ、ソフトタイヤを履いていました」
「当時、僕はケビンと争っていましたが、明らかに彼(リカルド)の方がクリーンエアを受けペースも良かったと思います。多分チームはペースがあるダニエルの方がケビンをオーバーテイクできるチャンスが高いと考え、僕に順位を交換するよう言ったんだと思います」
「でもあの瞬間はかなり熱くなってしまいました。最終的には多分、1周後か半周後に彼を前に出したと思うのですが、おそらくそれが問題でした」
「チームは(リカルドを前に出した方が)より多くのチャンスがあると考えていました。その点について僕は尊重しています」
ジェッダ市街地コースでのレースで再びチームオーダーが出された場合、前回よりもスムーズに受け入れられるか?と問われると角田裕毅は「100%大丈夫です!」と笑った。
レッドブル昇格、”2歩以上”の改善が必要
レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは現行契約を持つセルジオ・ペレスと並び、角田裕毅とリカルドが2025年のマックス・フェルスタッペンのチームメイト候補になり得るとしており、角田裕毅も自身の最優先事項がシニアチームへの昇格であると認めている。
F1を含むモータースポーツの世界では、ドライバーの技術的能力はもちろん重要ではあるものの、精神的な強さや感情の安定性も同様に重要な要素となる。
レース中には過度のプレッシャーやストレスが襲う。感情のコントロールが効かないと瞬時の判断に悪影響を及ぼす可能性があり、パフォーマンスの低下や事故の原因にもなりかねない。
4シーズン目を迎えてなお、感情に振り回されているドライバーと、どうしてレッドブルが契約したいと思うだろうか? レッドブルのセカンドシートに相応しい事を示すために、今シーズンの残りのレースで何を証明しなければならないと感じているのか? このように問われた角田裕毅は次のように述べ、自制心を養う事が必要との考えを改めて示した。
「それは間違いなく改善しなければならない点です。もう1度、同じような事をすれば、もっと大きな問題になると思いますし、これに関しては僕が改善しなければならないことなので、今取り組んでいるところです」
「例えば単に1歩ではなく、2歩以上の改善が必要だと思っていますが、やってのける自信はあります。あとは、それ以外の部分で僕を望むのかどうか、それとも別の人を望むのかは彼ら(レッドブルの経営陣)次第だと思います」
「主にはセルフコントロールに焦点を当てていますが、それ以外の部分に関しては、ほとんど達成できているという自信がありますし、僕としては兎に角、改善し続けるだけです」
開幕戦に先立ち角田裕毅は、8度のグランプリウィナーであるリカルドが持つ優れた自制心を学びたいと口にしたばかりだった。
この点について角田裕毅は「まだ学んでいる最中ですし、レースでの僕の振る舞いはそれとは逆のものだったかもしれません」と認める一方、F1の放送チームは自身の無線での悪態を切り取り過ぎているとも述べた。
「クルマに乗り込む前は『無線ボタンを押すなよ』って自分に言い聞かせているのですが、正直に言えば、彼らは僕のこの手の無線をピックアップするのが好きなんだと思います」と角田裕毅は語る。
「つまり、無線やテレビでそうであるほど、僕はそんなに叫んでいるわけではないのですが、言えば言うほど悪化しているような気がするので、僕としては改善のために最善を尽くしますと言うだけです。今後のレースではそれをお見せできると思います」