ハースF1、またも同士討ち「不振脱却の道筋が見えてきたかと思った矢先にコレだ」キレるボス
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ハースF1チームのF1イギリスGPは、事実上、僅か1周で終わりを迎えた。何かと問題児扱いされるロマン・グロージャンとケビン・マグヌッセンは、オープニングラップのターン5で横並びとなり接触。グロージャンは6周目、マグヌッセンは9周目にマシンを降りた。
昨年のコンストラクター5位のハースは今年、創設以来最も厳しいシーズンを過ごしており、9戦を終えて手にしたポイントは僅か16。下にいるのは、チームメイト同士で”Cリーグ”を争うウィリアムズしかいない。前戦オーストリアではまともに戦って16位と19位。そのウィリアムズにすら敗北を喫した。
低迷の主な原因は、トレッド面の薄くなったピレリタイヤだとみられているが、ファクトリーでの必死の取り組みの甲斐もあり、シルバーストンでのVF-19は堅実なロングランペースを発揮。改善に向けての期待が膨らんだが、二人は1周目に同士討ち。成果を確かめる事もなく、2台のマシンは早々に姿を消した。
驚くことは何もない。チーム代表のギュンター・シュタイナーは「不振脱却の道筋が見えてきたかと思えばこれだ」と語り、怒りをあらわにした。
「本当に不甲斐ないレースだった」とギュンター・シュタイナー。「私は当たり前の事を言っているだけだ。素晴らしくも、我々のドライバー達は今回のレースにシャベルを持ち出し、穴を掘ってくれた。我々は今泥沼にハマって苦しんでいるというのにだ」
二人が同士討ちするのは珍しい話ではない。5月のスペインGPでは、セーフティカー明けのリスタート直後のターン1で接触。イン側に飛び込んだマグヌッセンがグロージャンへと激突した。思えば昨年のイギリスGPも同じだった。ダブルQ3進出を果たすも、今回同様にオープニングラップのターン3で接触。デジャブか。
「バルセロナでのレース後、私は彼らに対して、やってはならない事を明確にしていた。それにも関わらずこれだ」とシュタイナー。「我々は現在トラック上でのマシンパフォーマンスに関して苦しい立場にあり、チーム全員が”ここは地獄か”というほど、懸命に働いている」
「今回のロングランは悪くなさそうで、ようやく解決の道筋が見えてきたかと思った矢先に、奴らはターン5でクラッシュしたんだ。受け入れられるわけがない」
シュタイナー代表は、レース後すぐにドライバー二人をオフィスへと呼びつけた。
「今は良い解決策が浮かばない。一晩考えさせてほしい。落ち着いた上で解決策を考え出す必要がある。それが私の仕事だ。我々は一つのチームだ。全員が自分自身ではなくチームのために働く必要がある」
4戦連続ノーポイントに終わった今週末は、別の意味でもハースにとって厳しいレースウィークだった。タイトルスポンサーのリッチエナジーが成績不振を理由に、一方的に契約破棄を宣言。同社の株主は、この発表はウィリアム・ストーリーCEOの独断であり、今後もハースへとサポートを継続すると明言しているが、状況は混迷を極めている。