セナと並ぶ最多8連続ポール、フェルスタッペンの”大逆転劇”を可能足らしめた「3名のキーマン」
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絶不調の初日から見事挽回し、アイルトン・セナとアラン・プロストが持つF1最多記録に並んだマックス・フェルスタッペン。何がF1エミリア・ロマーニャGPでの大逆転ポールポジションを可能足らしめたのか?
イモラでのポールは確実視されたものでも、多くが予想したものでもなかった。フェルスタッペンは3回のプラクティスを通して苦戦し続けた。一方でマクラーレンやフェラーリがミスをした結果でもなかった。
セルジオ・ペレスがQ2敗退を喫した事を踏まえれば、セナの持つ8戦連続ポール記録と、プロストが保持する開幕7戦連続ポール記録の背景にフェルスタッペン個人のドライビング能力があるのは間違いない。
ただ同時に、ミルトンキーンズのファクトリーで分析に取り組み続けたスタッフや、シミュレーターでステアリングを握り続けたセバスチャン・ブエミやジェイク・デニスが重要な役割を果たした事もまた、疑いない。
チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーはSNSを通して、シミュレータードライバーの貢献を強調した。
「マックスの見事なラップ、そしてプラクティスのみならず夜通しで素晴らしい仕事をしてくれたチームのおかげで8戦連続のポールポジションを獲得する事ができた!」
「これによりアイルトンが持つ記録に並んだわけだが、多くの人は今日の結果を予想していなかった事だろう」
「セバスチャン、ジェイク、そしてミルトン・キーンズにいるメンバーについて特に言及しておきたい。彼らは我々が必要とするクルマに仕上げるため、早朝までシミュレーターで作業をしてくれた」
「今日のQ3がその成果だ!明日に向けて全力で挑むつもりだ」
優れたシミュレータードライバーは単に、理論的に最適な解決策を見出すわけではなく、そのクルマに乗るドライバーの好みやスタイルを踏まえた上でのベストなフィードバックを提供する。
週末を通してレッドブルはRB20のバランスに頭を悩ませ続けた。
FP1ではフロントエンドが機能せず、回頭性がないためにコーナーでタイムを失い、セットアップを変更して臨んだFP2では、ミディアムタイヤでのバランスこそ改善したものの、ソフトに履き替えるとリアの不安定さが露呈した。
夜通しの作業を通してFP3では一歩前進したものの、それでもまだ不十分で、最後のプラクティスを経てなお更なる微調整が行われた。予選に向けてフェルスタッペンは、トップ5に入れれば御の字だと考えていた。
Q1をトップタイムで通過した事で、フェルスタッペンはようやくマクラーレンと張り合えるクルマを手に入れたが、それでもポールを獲得するにはピースが一つ足らなかった。そこで目をつけたのがニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)だった。
Q3最後のフライング・ラップに向けてアウトラップを走っていた際、フェルスタッペンは後方から友人のヒュルケンベルグが接近してくるのを見て、最終2コーナーに向けてトウを与えた。
フェルスタッペンには確信があったのだ。その後にヒュルケンベルグが「恩を返してくれる」という確信が。
案の定、ヒュルケンベルグは最終コーナーからターン2のブレーキングゾーンまで、約12秒間に渡ってフェルスタッペンを牽引した。ポールポジションと2番手を分けたのは僅か1000分の74秒だった。
この日の逆転劇についてフェルスタッペンは「少なくとも過去5・6シーズン」の中で「間違いなくベストな部類に入るもの」であるとして、「これほどまでに遅れを取ったと感じたのは久しぶりだった」と振り返った。