トロロッソ・ホンダ「STR14」は過去最高に作り込まれたシャシー
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スクーデリア・トロロッソの副テクニカルディレクターを務めるジョディ・エジントンによると、ホンダ製F1パワーユニットを搭載する2019年のF1マシン「STR14」は、過去最高に作り込まれたシャシーだという。
「パワーユニットとの統合という点において、今季のシャシーは我々がこれまでに経験した中で最も複雑だ。昨年よりもはるかに手間がかかっている」とジョディ・エジントン。Motorsport.comのインタビューの中で、このように明かした。
「これまでは夜な夜な辛い作業を行うような状況だったから、こういったことは出来なかったものの、(ホンダとの提携によって)パワーユニットサプライヤーと協力して、すべてを最適化する機会を得る事になった」
“車体とエンジンの統合”で思い出されるのが、レッドブル代表を務めるクリスチャン・ホーナーの”スイス時計発言”だ。今季「RB15」へのホンダエンジンの組み込みに関してホーナー代表は「完璧に統合されており、その姿は美しくさえある。まるでスイス時計の組立作業のようですらあった」と評している。
ホンダとの契約締結が2017年のシーズン後半であったため、ファエンツァのチームは2018シーズンに向けて開発期間を十分に確保する事が出来ず、昨季「STR13」は言わば”間に合わせスペック”のマシンであった。エジントンは、ホンダとの2年目を迎える今年は、車体とパワーユニットを合わせたパッケージ全体を、より詳細に突き詰める事が可能になったと説明する。
「設計プロセスを早期に開始できる事も利点だ。重要なコンポーネントというわけではないが、例えばウエストゲート・アクチュエーターの位置と場所が予め分かっている事で、最後の最後になって”こんなはずじゃなかった”等といった事態に遭遇するがなくなるわけだ」
「カスタマーエンジンの場合は、与えられたものを使うことしか出来ない。(だがワークスの場合には)”必要なものを教えてくれ”、と尋ねてくれるサプライヤーと仕事をスタートする事が出来るんだ」
「昨年はホンダと共に、エンジン側に幾つかの変更を加える可能性があったが、契約が決定したのが2017年の遅い時期だったから、さほど多くの変更はできなかった。でも今年に関してはレッドブルと共に、ホンダに様々な提案をする事が出来ている」
強豪レッドブル・レーシングは、12年間に渡るルノーとの関係にピリオドを打ち、今季よりホンダエンジンを搭載。シニアチームが同一仕様のPUへと切り替えた事で、トロ・ロッソは今年、レッドブル・テクノロジーからギアボックスやリアサスペンションを始めとする多くのパーツの供給を受けている。
エジントンは、ホンダとの緊密な連携関係よってクーリングシステムを徹底して作り込む事が出来るようになり、この結果、マシン全体のエアロダイナミクスの強化に成功したと付け加えた。
「冷却を最適化することができれば、コンポーネントを収納するためのスペースを小さくする事ができる。その結果、空力設計チームは余計な心配をすることなく、自由にデザイン作業に取り組む事が出来るのだ」