危ぶまれるイギリスGP…シルバーストン、F1に高額支払いを要求
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F1イギリスGPの開催が暗礁に乗り上げているのは、何も英国政府による新たな隔離措置ばかりが原因ではないようだ。BBCは11日(月)、開催地シルバーストン・サーキットがF1側に対して高額な支払いを要求していると伝えた。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)でカレンダー凍結を強いられているF1は目下、7月5日と12日のオーストリアでの2レースでシーズンを開幕させたいと考えており、これに続いてシルバーストンでのダブルヘッダーを計画している。
報道によるとシルバーストンは当初、レースの開催費用としてF1側に1,500万ポンド(約19億9,282万円)を要求していたという。これには2レース開催のための必要経費全額と、無観客でのイベント開催に際して失われるチケット販売やベンダーライセンス料などの補償分が含まれていたようだ。
これに対してF1は不採算とならない十分な金額の支払いを申し出て、シルバーストン側も一定の譲歩を示したが、依然として両者が提示する金額の開きは大きく、合意の見通しが立っていないという。
仮にイギリスでのグランプリ開催が頓挫すれば、ドイツのホッケンハイムやイタリアのイモラでの開催が現実味帯びてくる事になる。ホッケンハイムは昨年を以てカレンダーから脱落し、イモラに関しては2006年を最後にF1から遠のいている。
無観客レースはサーキット側にチケット収入をもたらさないため、開催のためにはF1側が最低でもホスティング料を全額免除する必要があるが、それでもなおサーキット側としては持ち出しが発生する。そのため2戦分の必要経費全額の支払いを求めるのは当然の主張とも言えるが、不可抗力分に相当するチケット販売などの補償までをも要求するのは行き過ぎと言われても止むを得まい。
これがシルバーストンだけに留まれば良いが、他の現地プロモーターも追随するようであれば、カレンダーの再編作業に際してF1は新たな頭痛の種を抱える事になる。
懸念材料はシルバーストンとF1との財政的対立だけではない。ボリス・ジョンソン英首相は10日、アイルランドを除く外国から空路での入国者全員に対して、到着後14日間の自己隔離を義務付ける措置を実施すると発表。オーストリアから続く4戦連続開催に黄色信号が灯っている。
政府発表の文書によると、この措置には一定の免除枠が設けられる事になっているが、詳細は明記されていない。予定通りに7月19日と26日にシルバーストンでイギリスGPを開催するためには、関係者全員の自己隔離の免除が必要不可欠で、F1側は免罪符の発行を求めて政府側と協議しているものとみられている。