勢いづくミック・シューマッハ…その背景に「プレッシャーと批判」あり、とレッドブル

ファンに手を振るミック・シューマッハ(ハース)、2022年7月10日F1オーストリアGPのドライバーズパレードにてCourtesy Of Haas

F1初入賞を経てトップ10フィニッシュを重ねるミック・シューマッハ(ハース)についてレッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、その背景に「プレッシャーと批判」があるとみている。

開幕バーレーンGPでのケビン・マグヌッセンの5位フィニッシュが象徴的なように、去る2021年シーズンを捨て去り開発されたハースの2022年型VF-22はミッドフィールド上位を争える高いポテンシャルを秘めている。

Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

レースを終えて抱き合うセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)とミック・シューマッハ(ハース)、2022年7月3日F1イギリスGP

だが、F1での2年目を迎えたシューマッハは今年、サウジアラビアGP予選で大クラッシュを喫し、マイアミGPではセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)と接触。モナコではマシンが真っ二つとなる致命的な事故を起こすなど、ルーキーイヤーと変わらずシーズン序盤は無得点レースが続いていた。

ところが、イギリスGPで念願のF1初入賞を果たすと、続くオーストリアGPでは予選と決勝で父ミハエルと同じ7冠のルイス・ハミルトン(メルセデス)を相手に見事なバトルを演じ、僚友マグヌッセンを上回る6位フィニッシュと、2戦連続でポイントを獲得した。

この活躍に対して世界中のF1ファンはシューマッハをDriver of the Day(ドライバー・オブ・ザ・デイ)に選出した。23歳のドイツ人ドライバーは全体の24.5%の得票を獲得し、優勝したシャルル・ルクレール(フェラーリ)を抑えた。

以前からシューマッハのキャリアをフォローしてきたとするヘルムート・マルコはドイツのテレビ局「n-tv」とのインタビューの中で次のように述べ、躍進の要因はプレッシャーと批判にあるとの考えを示した。

「彼には真のプレッシャーと批判が必要なようだ。それが功を奏している」

「メカニカルトラブルがなければ、モントリオールでもポイント圏内でフィニッシュしていただろう」

シューマッハはもともと、転向後の新しいカテゴリーでいきなり速さを示すようなドライバーではなく、段階を踏んで適応していくタイプとして知られていた。

欧州F3では初年度にランキング12位、そして翌年にチャンピオンシップを制した。FIA-F2選手権も同様で、ルーキーイヤーは12位ながらも、2年目にチャンピオンに輝いた。

更に言えば、ADACフォーミュラ4選手権(初年度10位、2年目2位)もMRFチャレンジ・フォーミュラ2000(初年度10位、2年目3位)も同じ様に2年目に飛躍した。

ヘルムート・マルコは「これはキャリアを通しての傾向で、フォーミュラ3でも似たような状況だった」と説明する。

「レースを重ねることで彼は突然、勝てるドライバーになったのだ。フォーミュラ2でも同じような事が起きた。それが彼のビルドアップのスタイルなのだろう」

シューマッハの勢いは覚醒と呼ぶに相応しいものなのか? フランスGP以降のパフォーマンスが注目される。

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