F1サウジアラビア決勝 タイヤ戦略考:”リスキー”なハードスタートを採り得る角田裕毅とハミルトン
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一歩間違えれば壁の餌食となる平均速度250km超のジェッダ市街地コース。レッドブルのセルジオ・ペレスがF1キャリア初のポールポジションを獲得したのはそういう場所だった。50周で争われる27日の決勝で初のポール・トゥ・ウインを達成できるだろうか?
前戦バーレーンGPではマクラーレン勢以外の全てがスタートにソフトタイヤを選択。3ストッパーが主流のレースとなったが、1段階柔らかいレンジのC2~C4コンパウンドが持ち込まれた今回はソフトのグレイニングが酷い。
そのためミディアム/ハードを組み合わせた1・2ストッパーが主流と予想される。実際アストンマーチン勢とケビン・マグヌッセン(ハース)を除く全車は両コンパウンドの新品を残しており、また、多くのチームは予選を前にしたFP3で余計なソフトを使い切ろうとしているように見えた。
金曜のレースシミュレーションではソフトが10周程度で終わっていたのに対し、ミディアムのデグラデーションは小さくパフォーマンスの低下が控えめで、15~20周程度は保ちそうな傾向がうかがえた。
ヘッド・オブ・カー・レーシングとしてピレリF1の現場を統括するマリオ・イゾラはレース戦略について「1ストッパーと2ストッパーに分かれるだろう」とした上で、チームがどちらを選択するのかはレース中のデグラデーション・レベルに依存する事になるだろうと指摘した。
デグラデーション=性能劣化が大きければ2ストッパーが有利となる。例えピットストップによるロスタイムが加算されるとしても、履き替えた方がトータルとしては速くなるためだ。なおハードとミディアムとのタイム差は1秒弱だ。
この場合、第1・最終スティントにミディアムを履き、第2スティントでハードタイヤを選択するのが望ましいだろう。何故か?
ハードでスタートするとミディアム勢にコースポジションを奪われる可能性が高く、第1・第2スティントでミディアムを履くと2ストッパーが確定してしまい戦略の幅を狭めてしまうためだ。レースでは必ず2種類の異るコンパウンドを使用しなければならない。
ハードスタートが選択肢に入るのは角田裕毅やルイス・ハミルトンなど、本来あるべき場所ではない後方からスタートするドライバーのみだろう。コンパウンド間の性能差をマシン性能差で相殺する事ができるからだ。
ハミルトンは攻めのパルクフェルメ規定違反でピットレーンスタートの可能性があり、角田裕毅はトップ10に足るマシンパフォーマンスがありながらも水回りのトラブルで予選を走れなかった。3グリッド降格を受けるダニエル・リカルドも、このリスキーなハードスタートを採り得るドライバーと言えそうだ。