レッドブル、フェラーリF1エンジンの圧倒的な最高速度は「理想的な燃料」に秘密があると推測
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レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、今シーズンのスクーデリア・フェラーリの圧倒的なトップスピードは、”理想的な燃料”に秘密があると考えている。
フェラーリのお膝元である伊メディアは、今季フェラーリ製パワーユニット「064」の馬力はメルセデスと同等だと見積もっているが、メルセデスの母国独メディアは、フェラーリはライバルよりも40馬力優れているとの調査結果を報じている。
詰まる所、外部から入手可能なデータによって計算された馬力はあくまでも推測値に過ぎず、実際のそれと乖離していないと主張する事は難しい。だが、パドックでの今季フェラーリの速さが話題の中心である事は疑いなく、その秘密に注目が集まっている事も明らかだ。
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は「フェラーリの燃料は、グレープフルーツのような匂いがする」と語り、燃料に何某かの革新的なアイデアが投入されているのでは、との見解を示した。
この点についてヘルムート・マルコは独Auto Bildに対して「フェラーリのガレージから奇妙な匂いがするのは本当だ」と語り、異様な香りが漂っている点についてはホーナーに同意するものの「それはグレープフルーツというよりもイチゴのような匂いだ」と述べ、同僚の嗅覚に疑問を呈した。
レッドブル首脳陣が感じた”甘酸っぱい匂い”は、一体何を意味するのだろうか?Dr.マルコは次のように続け、ライバルの仕事ぶりを絶賛した。
「フェラーリは内燃エンジンにとっての完璧な燃料配分を見出したのではと推測している。本当に良い仕事をしたのだろう。彼ら以外の全員が改善しなければならない状況だ。クルマが何かレギュレーションに違反しているわけではない」
昨年フェラーリは、ツインバッテリー・システムと呼ばれる複雑かつ巧妙な仕掛けを採用し、ERSで大きなアドバンテージを得ていたとされるが、メルセデスが適法性を疑問視した事で、FIA国際自動車連盟が調査を開始。事実上”穴を塞いだ”格好となり、昨年アゼルバイジャンGP以降は使われていないものとみられている。
フェラーリSF90が用いている燃料は、ドイツの港湾都市ハンブルグにあるシェルの研究開発所で生み出されたものだ。跳馬のオイルパートナーであるシェルは、年間21000時間という膨大なリソースを投じてオイル開発を行っており、1シーズンに約25000リットルものガソリンを供給している。
F1で採用されている先進的なターボエンジンの燃料には、燃焼性の良さや高いアンチノック性、高オクタン価や高い冷却性など、さまざまな性能が求められる。シェルはマラネロが開発したエンジンに最適な燃料を供給すべく、20万通りものシミュレーターを行い、ベストな燃料をブレンドしている。