レッドブル・ホンダ、F1スペインGPに”待望”の空力ソリューション…課題全面克服で表彰台狙う
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プレシーズンテスト以来、レッドブル・ホンダはウインドウの狭い2019年仕様のピレリタイヤに苦労し続けてきたが、その苦闘の歩みは第5戦スペインGPで終わりを迎える事になるかもしれない。レッドブル上層部は、RB15が抱える問題点はバルセロナで「全面的に解決される」と考えている。
スペイングランプリはチーム本拠地に近い事もあり、伝統的に各チームがシーズン最初の大型アップグレード・パッケージを投入する。事実上の”Bスペックマシン”と呼ぶに相応しい超ビッグアップデートを持ち込むチームもあれば、シーズンを通して一貫した小幅なアップデートを投入するチームもある。レッドブル・ホンダは後者だ。
ピエール・ガスリーの”予定外”のクラッシュのために、レッドブル・ホンダは開幕前テストを最大限に活かせないままにメルボルンへと向かったが、思いもよらぬフェラーリの失速も手伝い、マックス・フェルスタッペンが3位表彰台を獲得。順調なスタートを切ったかに思われた。
だが、テスト不良の影響は第2戦バーレーンで露呈。セットアップの問題によってリアタイヤのグリップ不足に悩み、トリッキーなマシンの改善に苦闘する事となった。状況を好転すべくチームはその原因を特定するも、フライアウェイでの連戦では打てる手立ては限定的。抜本的な解決にはスペインを待つ他になかった。
とは言え、懸命な努力の甲斐もあってアゼルバイジャンGPでは顕著に改善。決勝レースではフェルスタッペン、ガスリー共にメルセデスやフェラーリと比較して遜色ないスピードを示した。クリスチャン・ホーナー代表は「我々のクルマはミドルセクターで終始最速だった」と語り、クルマの改善プロセスが功を奏したとの認識を示した。バクーの第2セクターは、旧市街を周る起伏の激しい狭く曲がりくねったセクション。低速が主体のエリアだ。
英国ミルトンキーンズにファクトリーを構えるレッドブルは、低・中・高速コーナーの全てを持つテクニカルなカタロニア・サーキットに、エイドリアン・ニューウェイ率いる技術チームが開発した「かなり巧妙な」アップデートを持ち込む。その内容についてホーナー代表は次のように説明する。
「革新的というよりは進化と言った方が良いだろう。我々はフロントとリアのウィングのアップグレードを持ち込む。開発はバランスやデグラデーションといったさまざまな側面に焦点が当てられている」
一見しただけでは、どこが変更されたのか見分けがつかない。ホーナー曰く見た目上は些細な変化だというが、モータースポーツ・アドバイザーを努めるDr.ヘルムート・マルコは、このアップデートによって今季RB15のエアロダイナミクスの弱点は”全面的に”解決されると主張する。
「空力関連の課題に対する解決策を見出した」とヘルムート・マルコ。Auto Motor und Sportとのインタビューの中で次のように語った。「バルセロナに持ち込むソリューションによって、問題が完全に解決する事を約束しよう」
1.6リッターV6ハイブリッドターボ導入以降、レッドブルは2015年を除いてスペインGPで毎年ポディウムを獲得。2016年には優勝を果たすなど、例年高い競争力を発揮してきた。「4位というポジションには若干飽きてきた。可能な限り早く表彰台争いに戻りたい」と語るホーナー。ホンダのスペック2エンジンと空力アップデートによって、レッドブルはメルセデスとフェラーリに対してどこまで迫れるだろうか?
レッドブル・レーシングは現在、コンストラクターズ・チャンピオンシップで2位フェラーリに35点差の3位につけている。