F1:トルコGPの代替確保は至上命題、フェルスタッペン2勝のあのサーキットが有力か

レッドブル・リンクのターン2付近からホームストレート側を見下ろすcopyright Pirelli & C. S.p.A

中止が避けられない情勢のF1トルコGPの代替戦に関しては、翌戦の舞台、ポールリカールでの連戦やホッケンハイムやムジェロの名が取り沙汰されているものの、現時点ではマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が過去2勝を挙げているあのコースが最有力候補と言えそうだ。

イスタンブール・パーク・サーキットでのトルコGPは厳しい渡航制限のために中止を余儀なくされたカナダに代わって2週間前にF1カレンダーに復活したものの、早くもキャンセルの可能性が濃厚となっている。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を巡る現地情勢の変化を受け、F1チームの大部分がファクトリーを構えているイギリス政府は、5月12日(水)午前4時よりトルコの扱いを”アンバーリスト”から”レッドリスト”へと切り替えた。

これは渡航制限の区分リストの中で最も厳しい制限を課すもので、英国到着前の10日間の間にレッドリスト国に滞在していた旅行者は、政府指定のホテルで10日間の検疫措置を消化しなくてはならない。

F1サーカスはトルコGPの週末の2週間後に南フランスのル・カステレでのレースを控えているため、イスタンブールでのレース開催は現実的にかなり厳しく中止は避けられない見通しだ。

解決策の一つは第6戦アゼルバイジャンGPと第7戦トルコGPの交換だが、バクー市街地サーキットのアリフ・ラヒモフは、同じバクーで開催される予定のサッカーEURO 2020との兼ね合いからその可能性を全面的に否定している。

無論、代替レースなしのキャンセルというシナリオも現実的だ。F1は今年、史上最多となる23戦を計画している。1レースなくなったとしても見劣りする事はない。だがF1上層部はリスクヘッジのために候補地の選定に勤しんでいる。

23戦が並んでいるとは言え、変異株の猛威の影響もあり新型肺炎が収束する見通しは立っておらず、ブラジルやメキシコはもとより、シンガポールやオーストラリア、アメリカ、そして鈴鹿日本など、フライアウェイ戦の大部分は開催に疑問符が付く状態だ。むろんヨーロッパラウンドの一部が欠ける可能性もゼロではない。

トルコに加えて上記の海外6戦が消滅した場合、カレンダーは16戦にまで減る事になる。F1の収入の大部分は現地プロモーターからのホスティング料と放送事業者からのテレビ放映権料、そしてスポンサー料の3つから成り立っており、イベントが開催できなければ収入の殆どは失われ、コンストラクターランキングに応じてチームに支払われる賞金も消滅する。

特に大きいのは約40%を占める放映権料だ。無観客であれ何であれ、レースを開催してそれをテレビ放映できればF1は手堅く収入を確保できるものの、各事業者との間で締結されている放映契約の大部分には年間最低16戦を保証する条項が組み込まれている。つまりF1にとって「16」という数字はマストなのだ。

レッドブルリンク側からの申し入れを受け、F1上層部はオーストリアでのレース追加を検討しているものと考えられており、現時点ではレッドブルリンクで2連戦を開催する案が最も有力とみられる。

この場合、トルコGPの週末(6月11-13日)はオフとなり、フランスGPを1~2週間前倒しして第9戦オーストリアGP(7月2-4日)の前に同じレッドブルリンクでのレース1を行う。

かの地はフェルスタッペンが2018年と2019年に2連覇を飾った場所であり、ホンダエンジンが強みを持つ高地でもある。カレンダー再編がチャンピオンシップ争いに与える影響も見逃せない。

F1オーストリアGP特集

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