レッドブル・ホンダ、メルセデス昇格なき場合ジョージ・ラッセルへの契約打診の可能性否定せず
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レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、メルセデスが2022年に向けてF1シートを提供しない場合、ウィリアムズの若手、ジョージ・ラッセルに契約を打診する可能性を除外していない。
メルセデスは前戦オーストリアGPの2日目セッションを前に、ルイス・ハミルトンとの契約を2年間延長した事を発表した。これは両者にとって実に容易い決断であったが、もう一つのシートは別だ。
今季末で契約が切れるバルテリ・ボッタスはこれまでコンストラクターズタイトル連取に貢献する走りを見せてきたが、今季はオーストリアでの2連戦で復調の兆しを見せたものの一貫性に欠き、ドライバーズランキングでセルジオ・ペレスとランド・ノリスに次ぐ5位に甘んじている
一方、子飼いのラッセルはF1グリッドの中で最も有望な若手の一人と見なされており、FW43Bの大幅進化も相まって今季は9戦の全てでQ1突破を果たし、挙げ句レッドブル・リンクの第2レースではQ3進出をやり遂げて予選平均順位13番手を記録するなど、特に予選でのパフォーマンスでパドックに感銘を与えている。
メルセデスがボッタスの残留を選択した場合、ラッセルはほぼ間違いなくウィリアムズに残留する事になるだろうが、その場合はヘルムート・マルコが黙っていない。
Motorsport-Totalとのインタビューの中でヘルムート・マルコは「ウィリアムズでのパフォーマンスを考えれば、ラッセルは確かに検討に値する」と述べ、ラッセルが2022年にメルセデス昇格を果たせない場合、契約をオファーする可能性を認めた。
ただその一方で、メルセデスが既に2022年に向けてボッタスに代えてラッセルを起用するとの内部情報を得ているようで「もしメルセデスが彼を手放せば、正直に言ってそれは想像し難い非常に大きな失態だ」とも述べ、そうしたシナリオが現実のものになるとは思えないとの考えを示した。
仮に3年間に渡る武者修行を経てなおラッセルが来季も下位チームに留まる場合、レッドブル・ホンダのみならず他のチームの多くがラッセルにオファーを出す事になるだろう。そうなれば、メルセデスとしては将来のホープを手元に置いておく事が難しくなる。
メルセデスのトト・ウォルフ代表は評価対象となるレース数が現時点ではまだ少ないとして、今年のサマーブレイクに来季ドライバーラインナップを決定し、年内に発表するとの意向を示しているが、依然として既にラッセルの昇格は内定しており第10戦イギリスGPで正式発表があると考える者は多い。
仮にボッタスではなくラッセルを選んだ場合、メルセデスとしては統合に向けた準備期間を十分に確保するためにも、この問題が長引くことを避けたい思惑がある。
シートを失う事になれば、ボッタスはF1でのキャリアをスタートさせた古巣への出戻りを検討する事になるだろう。ボッタスは他のシリーズへの転向を考えておらずF1続行を最優先事項に掲げており、またウィリアムズの立場からすれば、ボッタスの経験はチームの再建に大いに役立つ可能性がある。
ただウィリアムズの来季候補にはニコ・ヒュルケンベルグやダニール・クビアトなど、複数のドライバーがいると考えられており、ボッタスが契約を勝ち取れるかどうかは分からない。