インディカー、2020年よりレッドブル製エアロスクリーンを導入…ドライバー頭部保護を強化

2020年よりインディカー・シリーズに道入されるレッドブル・アドバンストテクノロジーズ社設計のエアロスクリーンcopyright Red Bull Advanced Technologies

NTTインディカー・シリーズは5月24日、第103回インディ500決勝を26日に控えたインディアナポリス・モーター・スピードウェイで記者会見を行い、2020年シーズンに、レッドブル・レーシング・アドバンス・テクノロジー製のエアロスクリーンを導入する事を発表した。

発表されたエアロスクリーンは、ドライバーの頭部保護を目的とする安全装置。コース上に飛散したデブリ等からドライバーを守るよう設計されている。チタン製のフレームワークに積層ポリカーボネートスクリーンを組み合わせ、これを車体に固定する。

耐荷重性は、現在F1で使われている同様の安全デバイス「ヘイロー」と同等の150キロニュートンになる見込み。F1では、3本のフレームから構成される安全装置が2018年シーズンより導入されている。

レッドブル・レーシング・アドバンス・テクノロジーは、F1に参戦するレッドブル・レーシングとスクーデリア・トロロッソに技術供与を行う企業。F1でドライバーの頭部保護が大きな議題となった際、レッドブルはエアロスクリーン製の保護装置を開発・提案していたが、最終的にメルセデスAMGが提案したヘイローが採用された経緯がある。

スクリーン内部には反射防止コーティングが施され、曇り止め用に防曇鏡用ヒーターが搭載される。また、コックピット内の冷却機能がオプションとして用意される。開発はインディカー・シリーズの公式シャシー・マニュファクチャラーであるダラーラとレッドブルが担当。製造は関連する第三者企業が行い、今後更なる改良が施される予定だという。

ホンダ製パワーユニットの供給を受け、F1に参戦するレッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表は「エアロスクリーンの最初のプロトタイプが開発・実証されたのは2016年だった。その時から、このデバイスにコックピットエリアで正面衝突が発生した場合のドライバーの安全性を向上させるポテンシャルがある事は明らかだった」と語った。

インディカーは今年4月、最新型のコックピット保護デバイス「高度前面保護デブリ・デフレクター(AFP)」を発表し、5月26日に開催される第103回インディアナポリス500マイルレースに向けて、各チームに搭載を義務付けたばかり。安全性を一層強化する格好だ。

インディカー会長のジェイ・フライはエアロスクリーン導入について「ドライバーの安全性を高めるための、たゆまぬ献身と情熱による結晶だ。NTTインディカー・シリーズだけでなく、世界中のモータースポーツの安全性を進化させる上で重要な設計を手がけてくれたRed Bull Advanced Technologiesに感謝したい」と述べた。

エアロスクリーン設計完了を受けて、インディカー・シリーズは今夏初頭に、シリーズ参戦中の一部ドライバーを対象にして試験的なテストセッションを実施。2019年秋までに全チームにエアロスクリーンを納入する。

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