コピー巡るレーシングポイント裁定、グリッドの半数5チームが控訴の意向
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レーシング・ポイントF1チームの2020年型F1マシン「RP20」の合法性を巡る裁定に対して、グリッドの半数に相当する5チームが控訴の意向を表明した。
スチュワードは70周年記念GPの初日となった8月7日(金)、RP20のブレーキダクトに対するルノーの抗議に関して、レーシングポイントにコンストラクター選手権での15ポイントの剥奪を言い渡すと共に、40万ユーロの罰金を科す裁定を下した。
ただしスチュワードは、違法性があったと結論付けたリアブレーキダクトに関し、今後継続使用したとしても罰則を科さないとも明言した。
これに対して、ルノー、フェラーリ、マクラーレン、ウィリアムズが処分が軽微過ぎるとして不服を唱え、一貫して合法を主張するレーシングポイントと共に、意思表示の期限とされたグリニッジ標準時8日(土)午前9時30分までに控訴の意向を明らかにした。
意向表明に伴い、正式な控訴期限が判決の96時間後に設定された。控訴が決まった場合、本件はFIA国際控訴審判所(The FIA International Court of Appeal)に引き継がれる事になる。
無罪を訴えるレーシングポイントは、設計は主として撮影された写真を使ってのリバースエンジニアリングだとしているが、ライバル達はこれを事実上のカスタマーカーだと捉えており、部分的なコピーではなくマシン全体の模倣を問題視している。
フェラーリのマティア・ビノット代表は「本件はブレーキダクトに関連したものだが、その背後にはマシン全体をコピーしたと見受けられる要素がある」として、14ページに及ぶ判決文を慎重に検討した上で、罰則内容が十分かどうかを評価するとしていた。
またマクラーレンのザク・ブラウンCEOは「オーストリアで違法とされたにもかかわらず、その後は容認する等と言う状況はファンの混乱をきたす」「これは氷山の一角である可能性があり、何が起きているのかをハッキリさせる事を検討すべき時だ」と述べている。
原告となったルノーのシリル・アビテブール代表は「グリッドで最も優位性があるマシンを元にしたレーシングポイントの行為は、システムに衝撃を与え、混乱をもたらしたことを認識する必要がある。我々はそれにどう対処するかを見守る必要がある」と語り、強気の姿勢を崩していない。
一方、ブレーキダクトのCADを提供した側のメルセデスのメルセデスのチーム代表、トト・ウォルフは「評決は非常に複雑で、新しい解釈を提示している。我々は2019年に特定データを提供したが、それは完全にルールの範囲内だった。ブレーキダクトだけで、いきなり6位以内を争えるものではない。レギュレーションを最大限に活用したのは、エンジニアリングチームが優れているからだ」と述べ擁護の姿勢を示すと共に、これをきっかけとしてマシン全体のコピーのあり方についての議論を呼びかけた。
なお、FIAのシングルシーター部門を率いるニコラス・トンバジスは2021年のスポーティングレギュレーションを改定する事で、マシン全体をコピーする手法を禁じる方向で調整を進めていく考えを示している。