燃えるモンツァ!フェラーリが2010年以来の勝利 / F1イタリアGP《決勝》結果とダイジェスト
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2019シーズンのF1世界選手権 第14戦イタリアGP決勝レースが、9月8日にモンツァ・サーキットで行われ、シャルル・ルクレールが2戦連続、今季2度目のポール・トゥ・ウインを達成。フェラーリの聖地にティフォシの歓喜の声が響き渡った。
フェラーリが地元モンツァで勝利したのは2010年以来、実に9年ぶり。1.6リッターV6ターボ時代にモンツァで無敵を誇ったメルセデス勢は、跳馬の圧倒的なトップスピードの前になす術もなく、バルテリ・ボッタスが2位、ルイス・ハミルトンが3位に終わった。
ただしルクレールは、レース中にハミルトンからポジションを守るために際どいドライビングを重ねており、今後物議を呼ぶ可能性がある。
ホンダエンジン勢は、レッドブルのアレックス・アルボンが6位。最後尾スタートのマックス・フェルスタッペンは1周目に混乱に巻き込まれ、余計なピットストップを強いられた事もあり8番手。最終盤はレーシングポイントのセルジオ・ペレスに激しく襲いかかったが、抜き去ることは出来なかった。
トロロッソ・ホンダ勢はピエール・ガスリーが11位と、惜しくもポイントを逃した。ダニール・クビアトはトップ10圏内を走行していたものの、オイル漏れトラブルのためにリタイヤを喫した。
殊勲賞はルノー。2007年ぶりのダブル・トップ6進出の予選結果を活かして、ダニエル・リカルドが4位、ニコ・ヒュルケンベルグが5位と大健闘。チャンピオンシップでトロロッソ・ホンダを抜き単独5位に浮上した。
前戦スパとの連戦となったF1第14戦の舞台は、世界で3番目に長い歴史を持つ伝統のモンツァ・サーキット。決勝は、日本時間8日(日)22時10分にブラックアウトを迎え、1周5793mのコースを53周する事で争われた。
ウェットが予想されていたものの日曜の現地は晴天に恵まれ、チャンピオンシップポイントを争う決勝のフォーメーションラップは気温20.9℃、路面33.9℃、湿度55.1%のドライコンディションで開始された。
公式タイヤサプライヤーの伊ピレリは、中間レンジのC2からC4コンパウンドを投入。レースでは最低2種類のコンパウンドを使用する義務があり、今回は第二スティントでハードを投じるチームが散見された。
レース概要
注目のオープニングラップでは、ターン1へと向かったフェルスタッペンがフロントウイングを破損。緊急ピットインを強いられ、厳しい船出となった。アルボンはブレーキング勝負を仕掛けてマクラーレンのカルロス・サインツを交わしたものの、レズモでの立ち上がりで遅れてしまいグラベルに。結局ポジションを3つ落として11番手に後退した。
予選4番手のセバスチャン・ベッテルは、スタート直後にヒュルケンベルグにポジションを奪われ5番手に後退。翌周にすぐさま抜き返したが、7周目にアスカリ・シケインへの進入の際に単独スピン。ランオフエリアから慌ててコース内に戻ろうとしたところ、レーシングポイントのランス・ストロールと接触しフロントウイングを破損した。
ベッテルはウイング交換のためにピットイン。20番手最後尾でコースに復帰し、早々に戦線を離脱した。押し出されてコース外に飛び出たストロールもまた、ベッテルと同じように危険な形でコースへと戻ろうとしたため、後続のピエール・ガスリーが回避行動を強いられた。
スチュワードは「危険なインシデント」だとして、ベッテルに10秒ペナルティを科すと共にペナルティポイント3点を加算。ストロールに対してはドライブスルー・ペナルティを命じ、ペナルティポイント2点を加算した。
大きなクラッシュや接触が相次いたわけではなかったが、この日は審議の回数が目立っていた。アルファロメオのキミ・ライコネンは、スタートタイヤに誤りがあったとして10秒ペナルティ。本来であればQ2で使用した中古ソフトでスタートすべきところを、チーム側が誤ってミディアムタイヤを履かせてしまったのが原因。15位フィニッシュに終わった。
上位勢で最初にピットに動いたのはメルセデス。2番手を走行していたハミルトンが20周目にピットへと入り、ミディアムに履き替え5番手でコースに復帰した。アンダーカットを防ぐべく、その翌周にはラップリーダーのルクレールが反応。迅速なピットワークでポジションをキープした。
ピット戦略で抜けないのであれば、コース上での真っ向勝負あるのみ。ハードタイヤに履き替えたルクレールに対して、ハミルトンが”狩り”を開始。一度サイド・バイ・サイドに持ち込んだものの、ルクレールに押し出される格好となりコースオフ。スチュワードはルクレールに対し、スポーツマンシップにふさわしくない行為だとして、ブラック&ホワイトフラッグによる警告を発した。
規定周回の半分を消化した辺りからリタイヤが多発した。まずは28周目、ホイールの取り付けが不十分なままにピットアウトしたとして、サインツがホームストレート上でマシンストップ。バーチャルセーフティカーが導入された。その直後の31周目には、トップ10圏内を走行していたクビアトが、ホームストレート終端のシケインで、軽く白煙を吐きながらマシンを停めた。ハースのケビンマグヌッセンもまた、46周目にリタイアを選択した。
3台のマシンが停まっても、ハミルトンの猛追は止まらず。36周目には、プレッシャーにさらされ続けていたルクレールがターン1でタイヤスモーク。曲がりきれずにシケインをカットした。一件は審議となったがお咎めはなく、タイヤを酷使し続けたハミルトンは、42周目のターン1でロックアップ。このミスによってボッタスが2番手に浮上した。
3番手に後退したハミルトンはフリーストップを得て50周目にピットイン。フレッシュなソフトコンパウンドに履き替えファステストラップを刻み、選手権でのエキストラポイントを手にした。
ハミルトンからバトンを引き継いだボッタスであったが、なかなか1秒圏内に入り込めず、ルクレールが危なげない走りでトップチェッカーを受けた。
2019年F1第14戦イタリアGP決勝リザルト
Pos | No | Driver | Team | Laps | Time | PTS |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 16 | ルクレール | フェラーリ | 53 | 1:15:26.665 | 0 |
2 | 77 | ボッタス | メルセデス | 53 | +0.835s | 0 |
3 | 44 | ハミルトン | メルセデス | 53 | +35.199s | 0 |
4 | 3 | リカルド | ルノー | 53 | +45.515s | 0 |
5 | 27 | ヒュルケンベルグ | ルノー | 53 | +58.165s | 0 |
6 | 23 | アルボン | レッドブル | 53 | +59.315s | 0 |
7 | 11 | ペレス | レーシングポイント | 53 | +73.802s | 0 |
8 | 33 | フェルスタッペン | レッドブル | 53 | +74.492s | 0 |
9 | 99 | ジョビナッツィ | アルファロメオ | 52 | +1 lap | 0 |
10 | 4 | ノリス | マクラーレン | 52 | +1 lap | 0 |
11 | 10 | ガスリー | トロロッソ | 52 | +1 lap | 0 |
12 | 18 | ストロール | レーシングポイント | 52 | +1 lap | 0 |
13 | 5 | ベッテル | フェラーリ | 52 | +1 lap | 0 |
14 | 63 | ラッセル | ウィリアムズ | 52 | +1 lap | 0 |
15 | 7 | ライコネン | アルファロメオ | 52 | +1 lap | 0 |
16 | 8 | グロージャン | ハース | 52 | +1 lap | 0 |
17 | 88 | クビサ | ウィリアムズ | 51 | +2 laps | 0 |
NC | 20 | マグヌッセン | ハース | 43 | DNF | 0 |
NC | 26 | クビアト | トロロッソ | 29 | DNF | 0 |
NC | 55 | サインツ | マクラーレン | 27 | DNF | 0 |
コンディション
天気 | 晴れ |
---|---|
気温 | 20.9℃ |
路面温度 | 33.9℃ |
周回数 | 53 |
セッション概要
グランプリ名 | F1イタリアGP |
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レース種別 | 決勝 |
レース開始日時 |
サーキット
名称 | モンツァ・サーキット |
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設立 | 1922年 |
全長 | 5793m |
コーナー数 | 11 |
周回方向 | 時計回り |