ホンダF1「高温多湿のハンガロリンクでは冷却性能が肝」
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ホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクターが、2019年FIA F1世界選手権第12戦ハンガリーGPに先立って抱負を語った。
ホンダにとって、ハンガリーは思い出深いグランプリの一つだ。ハンガリーGP史上初めてのウエットとなった2006年、多くのマシンがクラッシュを喫するなどしてリタイヤする中、ジェンソン・バトンが混乱のレースを制し、自身および第3期ホンダ初となる優勝を成し遂げた。田辺TDは当時、バトンの担当エンジニアを務めていた。
ハンガロリンクでのレースは例年、厳しい暑さへの対処が最大の課題の一つとなる。2017年に再舗装された路面は以前のものよりも黒く、太陽光を吸収しやすい。そのため、気温の上昇以上に路面温度が高くなる傾向にあり、クルマには高い冷却性能が要求される。
© Pirelli、再舗装されたハンガロリンクの路面
冷却効率を上げるためには、ボディーワークの開口部を広げるなどして、マシン内部への空気流入量を増やす必要があるが、開けすぎてしまうと空気抵抗が大きくなり空力に影響が出てしまうし、開けなければオーバーヒートを抱える事になりかねない。
パワーユニットとしては、温度が高くなるとノッキングが起こる可能性が高まり、エンジンにかかる負荷が増大するだけでなく、パワーダウンに繋がる。またPUにはモーターやバッテリーも搭載されているため、これらの温度もケアしなければならない。
高温の中で開催された先日のオーストリアGPでは、メルセデスがオーバーヒートを抱え、エンジンパワーをセーブしてのレースを強いられた一方、レッドブル・ホンダは強力なエンジンモードを使用するなどして今季初優勝を飾った。
ハンガロリンクでは冷却性能が鍵を握る
田辺 豊治ホンダF1現場責任者
先週末に行われたドイツGPでは、アストンマーチン・レッドブル・レーシングとの2勝目を、そしてレッドブル・トロロッソ・ホンダとの初表彰台を獲得することができ、Hondaにとって特別なレースになりました。レース後は、両チームのメンバーと束の間の喜びを分かち合いましたが、今週末に迫るハンガリーへの準備を進めるべく、すぐに仕事へと戻りました。
ハンガリーGPが行われるハンガロリンクは、ブタペスト郊外の丘陵地帯にあり、アップダウンのあるコースレイアウトが特徴です。平均車速が低いことから低速コースに分類されますが、低速コーナーのみならず中高速コーナーも備えるテクニカルサーキットです。エンジンパワーのラップタイム感度は低い部類に入りますが、低速コーナーからの立ち上がりなど、パワーユニットにはドライバビリティーが求められます。
ハンガリーGPは例年夏場に行われ、気温も湿度も高いレースとなるため、クーリングが課題の一つとなります。今年ここまで経験した高外気温度で得たデータを活かしていきたいと思います。
ここは、2006年にバトン選手とともに勝利を手にしたサーキットで、私自身にとってもいい思い出がある場所です。F1の夏休み前、最後となる一戦にダブル表彰台のいい流れを持って臨みたいと思います。今週末も応援よろしくお願いいたします。
ハンガリーGPの舞台となるのは、低速かつ1周僅か4381mと短いショートコースのハンガロリンク。「壁のないモナコ」と称されるほどオーバーテイクが難しい。
ドライコンディションとなった昨年のグランプリでは、メルセデスのルイス・ハミルトンがポール・トゥ・ウイン。2位にフェラーリのセバスチャン・ベッテル、3位にキミ・ライコネンが続く結果となった。
F1ハンガリーGPは、日本時間8月2日(金)18時からのフリー走行1で幕を開ける。