牧野と福住の昇格の可能性は?ホンダ「日本人ドライバーのF1参戦は日本のモータースポーツ全体にとって極めて重要」
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ホンダのモータースポーツ部長を務める山本雅史は、今すぐに日本人ドライバーをF1に送り込むつもりはないものの、日本出身のレーサーがF1で戦うことは、ホンダのみならず日本のモータースポーツの将来にとって極めて重要だとの考えを明らかにした。
ホンダはモータースポーツ界で活躍する若手ドライバーの発掘・育成を目的としたプログラム”Hondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDP)“を主催。今年、F1直下のカテゴリーであるFIA F2選手権に参戦する福住仁嶺と牧野任祐を全面的に支援している。
今年のF1ドライバーマーケットは十数年に一度の移籍ラッシュとなっており、トロロッソ・ホンダのシートにも一つ空きがある状態だが、福住も牧野も共にF1参戦に必要となるFIAのスーパーライセンスポイントが足りていない。
山本MS部長は日本グランプリの公式プレスカンファレンスで「日本人ドライバーがフォーミュラ1のグリッドに立つことは、我々ホンダにとっても日本のモータースポーツの将来にとっても極めて重要な事だ」と述べ、その重要性を強調した。
© Honda、山本雅史モータースポーツ部長
先月開催されたF2シーズン第10戦モンツァのレース1で初勝利を上げた牧野は46ポイントでチャンピオンシップ13位、福住は17ポイントを獲得し17位。シート状況としてはF1昇格の決定的チャンスだが、両ドライバーは来年もF2でのレースを継続する事になりそうだ。
「彼らが参戦しているシリーズはご存知のように、レギュレーションが新しくなり多くの変更が行われ、シーズン途中でローリングスタートが導入されるなど、非常に安定したシリーズとは言えない状況です。ふたりとも非常に良いドライバーであり、我々は現在輝かしい未来のために才能を育てているところです」
規約とマシンが不安定な状況下でのチャンピオンシップは状況に左右される側面が大きく、ドライバーズランキングがそのまま各ドライバーの才能を表しているとは言い難い…山本はそう言いたかったのだろう。
日本人F1ドライバーの復活は、F1日本グランプリの継続開催にも大きな影響を与える事になる。毎年鈴鹿サーキットで開催されるグランプリは年々観客動員数が減少しており、イベント単体では単体での採算が取れない厳しい状況にある。辛うじて今年3年契約を更新したものの、その先の見通しは決して明るいとは言えない。
F2選手権第10戦で日本人初優勝を果たした牧野任祐
日本人ドライバーが最後にF1を走ったのは4年前にまで遡る。トップチームへの移籍が期待された小林可夢偉は、2014年のケータハムを最後にF1を去った。当時使用していたカーナンバー「10」は、現在トロロッソ・ホンダのレギュラードライバーを務めるピエール・ガスリーに継承されている。