ホンダ、F1の”恩に報いる”撤退後のパワーユニット技術供与
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懸案であった2022年以降のパワーユニット(PU)問題が一応の解決を見た。レッドブル及びスクーデリア・アルファタウリはホンダとの合意を経て、来季から2024年シーズンまでの3年間のマシンに搭載するPUを確保した事を15日に正式発表した。
2021年末限りでのホンダのF1撤退が撤回されたわけではない。また権利が譲渡されたわけでもない。詳細は明らかにされていないものの、PUに関わる知的財産権のライセンシングによって撤退後も両チームによる継続使用を許諾する形と見られている。
レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコによると、継続使用に際して発生するコストの大半はテストベンチの新設を含むイニシャルコストであり、3年間でかかる費用については他社からパワーユニットを購入するのと大きな差はないとしている。
バッジネームによりエンジンの命名権を販売する事すらできるようで、表面的にはレッドブル(更にはFIAやF1)に対する大盤振る舞いとも思われるものの、ホンダもまた具体的かつ相応なものを得る事になるのだろう。株式市場に上場する営利企業が自社に利益をもたらさない取引を行う事はあり得ず、また許されない。
ただ、そうした実務的な側面を除けば、そこにはF1に対するホンダの感謝の思いがあるようだ。
本田技研工業株式会社の渡辺康治ブランド・コミュニケーション本部長は、レッドブルとの2022年以降のHondaパワーユニット技術の取り扱いに関して合意に至った事は「大変うれしい」として、胸の内の一端を次のように語った。
「すでに発表の通り、Hondaは2050年のカーボンニュートラル達成という目標のために、2021年シーズンをもってF1の舞台から去ることになります。一方で、我々は長い歴史を持つF1参戦の中で多くのことを学んできており、F1に対して大きな感謝の想いを抱いています」
「その恩に報いる意味でも、今回の合意により我々にとって大切なパートナーであるRed Bull RacingとScuderia AlphaTauriがF1への参戦を継続し、F1が今後もスポーツとしてエキサイティングな環境を維持するための力となれたことを、非常に喜ばしく思っています」
「まもなく今シーズンが開幕しますが、ファンの皆さまと一緒に最後のシーズンをいい形で締めくくるため、Hondaは最終戦のチェッカーフラッグまで全力で走り続けていく所存です。これからも温かいご声援をよろしくお願いいたします」