ホンダ、いざF1タイトルへ…開幕に向けレッドブル・アルファタウリ双方とテストを開始

巨大なエアロレイクを取り付け空力テストを行うレッドブル・ホンダ「RB16B」、2021年バーレーンテスト-2021年3月12日Courtesy Of Red Bull Content Pool

気温29℃、路面36℃。上空は雲ひとつなくサクヒールには強い日差しが照りつける。ホンダがタイトル獲得に向けた最後の戦いをスタートさせた。

「Honda F1の集大成となる今年の目標は、言うまでもなくタイトルの獲得です」

本田技研の渡辺康治ブランド・コミュニケーション本部長は、ホンダにとって最後のF1プレシーズンテストを前に、その決意をこう表した。2015年よりパワーユニットサプライヤーとしてF1に参戦してきた日本のエンジンメーカーは今季末を以てその活動に終止符を打つ。

「昨年は、トロロッソ時代も合わせるとパートナーシップ3年目となったスクーデリア・アルファタウリとガスリー選手のドライブで初勝利を飾ることができ、2年目となったレッド ブル・レーシングとはフェルスタッペン選手による2勝という結果を残すことができました。一方で、トップチームの背後になかなか近づけない歯がゆさを味わうシーズンともなりました」

「開幕から毎戦、落とせないレースが続きますので、今日からのテストでは両チームともにしっかりと走り込みを行い、新型のマシンとPUの熟成を進めていきます」

ホンダと共に打倒メルセデスを掲げてチャンピオンシップ獲得に挑むのは、かつてセバスチャン・ベッテルと共に4連覇を達成した強豪、レッドブル・レーシングだ。

モータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは2021年シーズンについて、ディフェンディング・チャンピオンのメルセデスが依然最有力候補であるとしながらも、最後にタイトルを獲った2013年以来最大のチャンスだと考えている。

8年ぶりの王座復帰をターゲットとする今年のレッドブルがホンダとの最終年に懸ける想いは強い。

英国ミルトンキーンズのチームはドライバー育成を内製化し、自らが育てた若手をまずはアルファタウリで、その後レッドブルへと引き上げる方法を伝統的に重視してきたが、今年はその慣例を破ってまで、かつて小林可夢偉と共にザウバーで戦った事もあるベテランのセルジオ・ペレスを外部から起用した。全ては勝つために。

チーム代表のクリスチャン・ホーナーは「Hondaとのパートナーシップの最終年に相応しい最大限のパフォーマンスを発揮すべく、チーム全員が高い士気にあふれている」と意気込みを語る。

「手強いライバルとの位置関係は理解している。だが我々は真のレース屋だ。Hondaと同様に、タイトル獲得を目指して戦うという決意が年を経るごとに強まっている」

「Hondaは競争力あるPUを供給すべく、これまでハイブリッド技術に多くのものを注ぎ込んでくれた。今もなお パフォーマンス向上に懸ける彼らの献身と情熱には、本当に感謝している」

「このオフの間にも、新しいPUから少しでも多くのパフォーマンスを引き出すために、同じく我々のパートナーであるエクソン・モービルとともに懸命に開発を続けてくれた。我々もこれに応えるべく、昼夜を問わず新車RB16Bの開発に挑んできた」

「シーズン序盤の数戦が終わるまではライバルに対する自分たちの本当の実力は測れないが、Honda、経験豊富なマックス(・フェルスタッペン)とチェコ(セルジオ・ペレス)共々、挑戦に向けての準備は整っている」

ホンダがPUを供給するもう一つのチーム、スクーデリア・アルファタウリからは、ホンダの四輪ドライバー育成プログラム出身の角田裕毅が、2014年の小林可夢偉以来7年ぶりの日本人ドライバーとしてF1デビューを果たす。

渡辺本部長は2000年代生まれとしては史上初のF1ドライバーとなる角田裕毅について「ルーキーながらも高い才能とスピードを備えたドライバー」であり「Hondaとしても最大限にサポートしていく」と説明した。

アルファタウリにとってはホンダとの4年目を迎える形となる。右肩上がりで成長を続けその絆を深めてきた中での撤退。チーム代表のフランツ・トストの胸中は複雑だ。

「Hondaとはこれまで非常に良い関係でパートナーシップを組んできただけに、今年いっぱいで彼らがF1を去ることは本当に残念だ。一方、新設されるRed Bull Powertrainsの下で来年以降もHondaのテクノロジーが使える事を楽しみにしている。我々とレッドブルにとっては最善の選択だった」

「ホンダはこれまで開発に多くの情熱とリソースを投入し、HRD-SakuraとHRD-UKにいるエンジニアたちも素晴らしい仕事をしてきてくれた。その努力により、HondaのPUは高い競争力と信頼性を発揮するに至ったが、今シーズンは更なる改良が加えられている」

「Hondaとのラストイヤーで共に可能な限りの好結果を残すべく、ベストを尽くしていきたい」

バーレーンテスト開始から1時間。レッドブルはエースのマックス・フェルスタッペンがステアリングを握り、10周を走って1分35秒008の3番手タイムを、アルファタウリはピエール・ガスリーが13周を走り4番手タイムをマーク。共に順調にテストをスタートさせた。

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