F1カタールGP「極めて危険」コース横断のハミルトンに異例の罰金と戒告処分
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F1カタールGPのスチュワードは2023年10月8日(日)の決勝レースを経て、「極めて危険な状況を引き起こす可能性があった」として、レース中のコースを横断したルイス・ハミルトン(メルセデス)を戒告処分(非ドライビング)にすると共に、罰金50,000ユーロ(約788万円)を科す決定を下した。
僅か数百メートルでリタイヤしたロサイル・インターナショナル・サーキットでのレースで7度のF1ワールドチャンピオンは、2件のインシデントで調査を受けた。
オープニングラップではターン1でアウト側から大外刈りを仕掛け、僚友ジョージ・ラッセル(メルセデス)と接触。ホイールを失ったハミルトンはグラベルへと吸い込まれ、その場でリタイヤした。
スピンを喫してコースオフしたラッセルは、フロントウイングの交換を余儀なくされ最後尾に転落したが、それでも終盤に向けてオーバーテイクを繰り返し、シャルル・ルクレール(フェラーリ)を抑えて4位フィニッシュした。
チームメイト同士によるこの事故はFIA国際競技規定付則L第4章第2条d)違反の疑いが持たれたが、1985年のインディ500ウィナー、ダニー・サリバンを含むF1カタールGPの競技審判団は、映像およびオンボード映像を確認の上、お咎めなしとした。聴聞会は行われなかった。
スチュワードは「ハミルトンの過失が大きいと主張する事もできる」と認めたが、「1周目のインシデントであり、また複数台のクルマが絡んでいた事を考慮して、典型的な『1周目のターン1の事故』と見なせる」として、いずれのドライバーにも「完全な過失はない」と結論づけた。
ただ、このクラッシュの後にピットへと戻る際にレース中のコースを横断した件については、聴聞会を経てペナルティが下された。
ハミルトンがコースの外側から内側に達した数秒後、ウイング交換を終えてコースに復帰したラッセルが高速で通過した。ハミルトンはその後もコースに沿って歩き続けた。
スチュワードによると聴聞会の中でハミルトンは「非常に申し訳なさそう」な態度で対応し、自身にとってもコース上でレースを続ける他のドライバーにとっても「非常に危険な状況」であった事を理解した。
スチュワードは「コースの横断は極めて危険な状況を引き起こす可能性があり、ドライバーは非常に慎重にならなければならないという事実」を強調し、またシーズン中に累積5回(うち少なくとも4回はドライビングに関する違反)の戒告を受けるとペナルティが下される事を念頭にハミルトンを叱責した。
F1においてドライバー個人に罰金が科されるケースは異例だ。なお今回の50,000ユーロのうちの25,000ユーロについては執行猶予付きで、2023年シーズンの残り期間に同様の違反がない場合、支払いが免除される。
2023年F1第18戦カタールGP決勝レースでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季14勝目をポール・トゥ・ウインで飾った。2位はオスカー・ピアストリ、3位はランド・ノリスと、前戦日本GPに続きマクラーレンがダブル表彰台に上がった。
サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)を舞台とする次戦アメリカGPは現地10月16日のフリー走行1で幕を開ける。