F1フランスGP予選最高速：レッドブル・ホンダは本当にストレートで速かったのか？

Published：2021/6/20 17:20

ルイス・ハミルトンが言うように、今季2基目のホンダ製ICE（内燃エンジン）を搭載したレッドブルは本当にポール・リカールのストレート区間で速かったのだろうか？

6月19日のF1フランスGP予選では、マックス・フェルスタッペン（レッドブル・ホンダ）が後続のハミルトンに0.258秒という大差を付けてポールポジションを獲得した。

2018年のF1カレンダー復帰以来、ポールリカールでポールポジションと優勝を独り占めしてきたハミルトンは「信じられない速さだった。フレッシュなエンジンを手にした彼らはストレートで速い」「今日は彼らがストレートで勝っていた部分が大きいと思う」とライバルを評した。

エンジン全開率65%のポールリカールではフィニッシュラインの他に、以下の3箇所でトップスピードが記録される。

• 中間地点1：ターン5の50m奥
• 中間地点2：ターン10の370m手前
• スピードトラップ：ターン8の165m手前

ハミルトンが言う”ストレート”は第2セクターのミストラル・ストレートの事だ。メルセデスのトラックサイド・エンジニアリング部門を率いるアンドリュー・ショブリンはW12が抱えていた課題について「ターン9～11にかけてのストレートでタイムをロスしていた事」と説明している。

以下、フェルスタッペンとハミルトンに注目してセクター別ベストタイムとスピードトラップ及び中間地点2での最高速を駆け足で振り返ってみる。なお以降の表では判別しやすいようにフェルスタッペンのデータのみを赤地とした。

また参考までに中間地点1とフィニッシュラインのトップスピードデータも載せておく。

セクター別ベストタイム

セクター別のベストタイムを見てみると、セクター1はハミルトン、セクター2・3はフェルスタッペンが最速を刻んでおり、フェルスタッペンは28秒区間のセクター2だけで0.128秒を積み上げている。確かにセクター2でのゲインは大きい。

余談だが、ミッドフィールド最速を刻んだカルロス・サインツ（フェラーリ）のセクター2ベストが12番手というのは興味深い。後に見るようにトップスピードも伸びておらず、ダウンフォースを多めに設定しているのかもしれない。

Pos	Sector 1		Sector 2		Sector 3
	Driver	Time	Driver	Time	Driver	Time
1	L.ハミルトンHAM	22.374	M.フェルスタッペンVER	27.388	M.フェルスタッペンVER	40.197
2	M.フェルスタッペンVER	22.405	L.ハミルトンHAM	27.516	L.ハミルトンHAM	40.358
3	V.ボッタスBOT	22.407	V.ボッタスBOT	27.527	S.ペレスPER	40.428
4	S.ペレスPER	22.42	S.ペレスPER	27.597	V.ボッタスBOT	40.442
5	C.サインツSAI	22.427	E.オコンOCN	27.701	C.ルクレールLEC	40.583
6	P.ガスリーGAS	22.487	S.ベッテルVET	27.711	P.ガスリーGAS	40.591
7	C.ルクレールLEC	22.516	P.ガスリーGAS	27.72	C.サインツSAI	40.598
8	F.アロンソALO	22.578	L.ノリスNOR	27.728	L.ノリスNOR	40.777
9	L.ノリスNOR	22.615	J.ラッセルRUS	27.747	D.リカルドRIC	40.778
10	D.リカルドRIC	22.798	F.アロンソALO	27.772	F.アロンソALO	40.957
11	E.オコンOCN	22.836	D.リカルドRIC	27.775	S.ベッテルVET	41.035
12	A.ジョビナッツィGIO	22.846	C.サインツSAI	27.815	E.オコンOCN	41.086
13	S.ベッテルVET	22.967	L.ストロールSTR	27.826	A.ジョビナッツィGIO	41.089
14	J.ラッセルRUS	23.02	A.ジョビナッツィGIO	27.868	L.ストロールSTR	41.098
15	K.ライコネンRAI	23.074	M.シューマッハMSC	27.871	J.ラッセルRUS	41.153
16	L.ストロールSTR	23.198	C.ルクレールLEC	27.888	N.ラティフィLAT	41.576
17	N.ラティフィLAT	23.224	N.ラティフィLAT	27.889	M.シューマッハMSC	41.733
18	M.シューマッハMSC	23.275	K.ライコネンRAI	28.072	N.マゼピンMAZ	41.751
19	N.マゼピンMAZ	23.464	N.マゼピンMAZ	28.182	K.ライコネンRAI	41.752

スピードトラップ

ミストラル・ストレート中間地点に設けられたシケイン手前でのスピードトラップでは、フェルスタッペンが時速328.7kmでトップ、対してハミルトンは326.6kmで9番手に留まった。各々の相方を見ても、セルジオ・ペレスが4番手であるのに対して、バルテリ・ボッタスは10番手と同じ傾向を示した。

Pos	Driver	Team	km/h
1	マックス・フェルスタッペン	レッドブル・ホンダ	328.7
2	フェルナンド・アロンソ	アルピーヌ・ルノー	328.1
3	エステバン・オコン	アルピーヌ・ルノー	327.7
4	セルジオ・ペレス	レッドブル・ホンダ	327.7
5	アントニオ・ジョビナッツィ	アルファロメオ・フェラーリ	327.2
6	ピエール・ガスリー	アルファタウリ・ホンダ	327.1
7	ジョージ・ラッセル	ウィリアムズ・メルセデス	326.8
8	ミック・シューマッハ	ハース・フェラーリ	326.6
9	ルイス・ハミルトン	メルセデス	326.6
10	バルテリ・ボッタス	メルセデス	326.4
11	カルロス・サインツ	フェラーリ	325.4
12	ダニエル・リカルド	マクラーレン・メルセデス	325.1
13	ランド・ノリス	マクラーレン・メルセデス	324.3
14	シャルル・ルクレール	フェラーリ	324
15	セバスチャン・ベッテル	アストンマーチン・メルセデス	323.8
16	ニキータ・マゼピン	ハース・フェラーリ	323.4
17	ニコラス・ラティフィ	ウィリアムズ・メルセデス	322
18	キミ・ライコネン	アルファロメオ・フェラーリ	322
19	ランス・ストロール	アストンマーチン・メルセデス	320.6
20	角田裕毅	アルファタウリ・ホンダ	225.7

ストレート区間での速度が勝っていた理由についてレッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表は、パッケージをローダウンフォース寄りにしてドラッグ（空気抵抗）を削ったためだと説明している。

にも関わらず、ダウンフォースが求められるセクター3でも全体ベストを記録しているのだから、メルセデスが手に負えないと感じるのも無理はない。

中間地点2

ミストラル・ストレートのシケイン後の地点でもフェルスタッペンが最高速を刻み、これにペレスが続いた。

Pos	Driver	Team	km/h
1	マックス・フェルスタッペン	レッドブル・ホンダ	285.4
2	セルジオ・ペレス	レッドブル・ホンダ	285.4
3	ジョージ・ラッセル	ウィリアムズ・メルセデス	283.7
4	ニコラス・ラティフィ	ウィリアムズ・メルセデス	283.3
5	ピエール・ガスリー	アルファタウリ・ホンダ	283
6	ルイス・ハミルトン	メルセデス	283
7	バルテリ・ボッタス	メルセデス	282.8
8	ダニエル・リカルド	マクラーレン・メルセデス	282.7
9	ランド・ノリス	マクラーレン・メルセデス	282.3
10	ランス・ストロール	アストンマーチン・メルセデス	282.1
11	セバスチャン・ベッテル	アストンマーチン・メルセデス	281.6
12	カルロス・サインツ	フェラーリ	281.4
13	ニキータ・マゼピン	ハース・フェラーリ	280.9
14	ミック・シューマッハ	ハース・フェラーリ	280.6
15	アントニオ・ジョビナッツィ	アルファロメオ・フェラーリ	280.5
16	シャルル・ルクレール	フェラーリ	280
17	フェルナンド・アロンソ	アルピーヌ・ルノー	279.8
18	キミ・ライコネン	アルファロメオ・フェラーリ	279.7
19	エステバン・オコン	アルピーヌ・ルノー	279.4
20	角田裕毅	アルファタウリ・ホンダ	242.3

フィニッシュライン

フィニッシュラインと中間地点1は共に、直前に回り込む低速コーナーがあるため同じような並びとなった。ウィリアムズとマクラーレンが上位を占めている。

Pos	Driver	Team	km/h
1	ジョージ・ラッセル	ウィリアムズ・メルセデス	308.9
2	ダニエル・リカルド	マクラーレン・メルセデス	307.5
3	マックス・フェルスタッペン	レッドブル・ホンダ	305
4	ニコラス・ラティフィ	ウィリアムズ・メルセデス	303.9
5	ランド・ノリス	マクラーレン・メルセデス	303.9
6	ピエール・ガスリー	アルファタウリ・ホンダ	303.8
7	セルジオ・ペレス	レッドブル・ホンダ	303.4
8	セバスチャン・ベッテル	アストンマーチン・メルセデス	303.2
9	ランス・ストロール	アストンマーチン・メルセデス	302.9
10	フェルナンド・アロンソ	アルピーヌ・ルノー	302.3
11	ルイス・ハミルトン	メルセデス	302.2
12	バルテリ・ボッタス	メルセデス	302.1
13	カルロス・サインツ	フェラーリ	301
14	ミック・シューマッハ	ハース・フェラーリ	301
15	ニキータ・マゼピン	ハース・フェラーリ	301
16	角田裕毅	アルファタウリ・ホンダ	300
17	アントニオ・ジョビナッツィ	アルファロメオ・フェラーリ	299.8
18	エステバン・オコン	アルピーヌ・ルノー	299.8
19	キミ・ライコネン	アルファロメオ・フェラーリ	299.6
20	シャルル・ルクレール	フェラーリ	297.2

中間地点1

Pos	Driver	Team	km/h
1	ジョージ・ラッセル	ウィリアムズ・メルセデス	308.9
2	ダニエル・リカルド	マクラーレン・メルセデス	307.5
3	マックス・フェルスタッペン	レッドブル・ホンダ	305
4	ニコラス・ラティフィ	ウィリアムズ・メルセデス	303.9
5	ランド・ノリス	マクラーレン・メルセデス	303.9
6	ピエール・ガスリー	アルファタウリ・ホンダ	303.8
7	セルジオ・ペレス	レッドブル・ホンダ	303.4
8	セバスチャン・ベッテル	アストンマーチン・メルセデス	303.2
9	ランス・ストロール	アストンマーチン・メルセデス	302.9
10	フェルナンド・アロンソ	アルピーヌ・ルノー	302.3
11	ルイス・ハミルトン	メルセデス	302.2
12	バルテリ・ボッタス	メルセデス	302.1
13	カルロス・サインツ	フェラーリ	301
14	ミック・シューマッハ	ハース・フェラーリ	301
15	ニキータ・マゼピン	ハース・フェラーリ	301
16	角田裕毅	アルファタウリ・ホンダ	300
17	アントニオ・ジョビナッツィ	アルファロメオ・フェラーリ	299.8
18	エステバン・オコン	アルピーヌ・ルノー	299.8
19	キミ・ライコネン	アルファロメオ・フェラーリ	299.6
20	シャルル・ルクレール	フェラーリ	297.2

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