フォース・インディアF1、チーム売却に暗雲多数…譲渡未了のままベルギーGPへ

フォース・インディアのエステバン・オコンとセルジオ・ペレスcopyright Force India

経営再建に向けて新しいオーナーを迎えたフォース・インディアF1チームに資産売却の遅れが発生。譲渡が完了しない不安定な状況のままにF1ベルギーGPを迎える可能性が濃厚となっている。

慢性的な財政難に苦しんでいたフォース・インディアはハンガリーGPの週末に破産管財人の管理下に置かれ、その後ウィリアムズのレギュラードライバーを務めるランス・ストロールの父ローレンス率いる投資グループがこれを買収。第13戦ベルギーGPに向けて、債権処理と譲渡に向けての手続きが進められていた。

当初、スパ・フランコルシャンでのレース前に全ての法的プロセスが完了するものと思われていたが、22日水曜の時点で一部債権者への支払いが終わっておらず売却が完了していない事が発覚。F1に参戦するための”エントリー権”の移譲についても、ルノー、マクラーレン、ウィリアムズの3チームが拒否権を発動しており、旧オーナーの資産のままとなっている。

買収が発表された時点では、ランス・ストロールがベルギーGPからフォース・インディアに移籍するものと考えられていたが、22日に発表されたウィリアムズの囲み取材リストにはランスの名が書き記されており、その可能性は消滅。フォース・インディアの立ち位置が不安定である事を物語っている。

大株主の一人であるビジェイ・マリヤはインド当局から詐欺容疑で指名手配を受けており、その一部資産が凍結された状態となっている。障害の解決のためには計13のインド銀行の同意及び、イギリス裁判所の資産差し止め命令の変更が必要とされる。

マシンやシルバーストンのファクトリー、レース機材などの譲渡は完了しているようで、スパに到着したフォース・インディアのレース機材からはロゴが削除されており、チーム公式Twitterアカウントのプロフィール画像からは”サハラ”の文字が取り除かれているのが確認できる。

特例的な状況であるためFIA国際自動車連盟はフォース・インディアのベルギーGP出走を認めるものと思われるが、一連の売却プロセスに意義を唱えている企業があり、先行き不透明な状況は払拭されていない。

管財人管理下で行われた入札には、ストロール率いる投資家コンソーシアム以外にもロシア・ベレズニキに本拠地を置くウラルカリ社が参加。同社はかつてマクラーレンでチーム代表を務めていたマーティン・ウィットマーシュの協力を得てフォース・インディアの買収に動いていたとされる。

結果として管財人であるFRP Advisory LLPはウラルカリ社の提案を却下したが、同社は21日に「管財人によって行われた債務整理プロセスは、フォース・インディアの債権者およびその他の利害関係者、ならびにF1全体にとって最善の利益とは言えない可能性があると考えている」との声明を発表。

その理由として同社は、最終入札での公平性と透明性を担保するために、全ての入札者が封をした封筒を持ち寄り、これをその場で開封する手順を管財人に提案したところ拒否されたと主張。管財人側は、入札参加者の提案は適切な手順を経て平等に審査されたとして、ウラルカリ社の主張を退けている。

ウラルカリ社は、現在フォース・インディアのテストドライバーを務めるニキータ・マゼピンの父ドミトリーが取締役会副会長を務めており、塩化カルシウムの輸出等によって年間3000億円の売上を計上するグローバル企業として知られる。

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