巨星墜つ、故レッドブル総帥マテシッツを偲ぶF1パドック「モータースポーツ界にそびえ立つ人物だった」
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レッドブルの共同設立者であり、近代F1のあり方に多大な影響を与えたオーストリア人実業家のディートリッヒ・マテシッツが2022年のF1アメリカGP予選を前に78歳で死去した。
年間数百億円規模の予算を擁するF1チームを2つ所有し、F1に対して最も大きな影響力を持つ1人であったものの、パドックに訪れる事は稀で、ほとんどインタビューにも応じない寡黙な人物だった。
レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナーは代表は「彼がいたからこそ、我々はここにいるのだ。彼のF1に対する情熱とビジョンがあったからこそ、F1のピットレーンに2つのチームが存在しているんだ」と偲んだ。
「本当に悲しい知らせだ。F1だけでなく、レッドブル事業、あらゆるスポーツのプラットフォームにおいて多くのインスピレーションを与えてくれる驚くべき人だった」
「良い日も悪い日も、彼は常に力強く励まし、そして支えてくれた。多くの人が彼に心からの恩義を感じている」
「彼はF1を愛していた。我々チームは彼に大きな借りがある。彼が何よりも望んでいたのは、今日の予選で彼の2台のマシンが走る姿を見ることだった事だろう。彼の家族に思いを寄せている」
マテシッツはザウバーの60%株を取得し、スポンサーという立場で1995年にF1との関与を本格的にスタートさせた。そして2004年にジャガーを、2005年にミナルディを買収。レッドブル・レーシングとスクーデリア・アルファタウリという2チームを設立した。
F1を統括する国際自動車連盟(FIA)のモハメド・ベン・スレイエム会長はマテシッツを「モータースポーツ界にそびえ立つ人物」と形容し、「FIAの全ファミリーの想いは彼の愛する人たちとともにある。彼の死を誰もが心から惜しむだろう」と追悼を述べた。
またF1のステファノ・ドメニカリCEOは「F1ファミリーの中で本当に多くの尊敬を集め、愛される存在だった」として、マテシッツの訃報に深い悲しみを示した。
同じオーストリア出身でメルセデスF1チーム代表を務めるトト・ウォルフは「ディートリッヒ・マテシッツは私にとって、世界で最も素晴らしい起業家の1人だ」と賛辞を送った。
「彼はエナジードリンクというそれまでに存在しなかった市場を開拓し、世界最高のブランドの1つを作り上げた。スポーツ界に身を置く我々は彼に多くの借りがある」
「彼のような人は他には存在しない。我々オーストリア人にとって本当に悲しい日だ」