チームオーダー論争、アルピーヌ「遅すぎた」の一方「大騒ぎする話じゃない」とガスリー

9位フィニッシュを経てインタビューに応じるピエール・ガスリー(アルピーヌ)、2024年6月9日F1カナダGPcopyright FORMULA 1

エステバン・オコンが「意味不明」なチームオーダーへの不満に焦点を当てた一方、ピエール・ガスリーは「素晴らしいチームワーク」と、A524に「競争力があった」事でアルピーヌが今季初のダブル入賞を果たした点を強調した。

F1カナダGPの終盤に向けて2台揃ってポイント圏内を走行していたアルピーヌは、更なるポイントの加算に向け、9番手を走行していたオコンに対し、後続のガスリーを前に出すよう指示を出した。8番手を走行するダニエル・リカルド(RB)の攻略が目的だった。

オコンは当初、これに従う事を拒否していたが、69周目のターン8で渋々、ガスリーに道を譲った。結局ガスリーはリカルドをオーバーテイクできずに終わったが、ポジションが戻される事はなく、ガスリーは9位、オコンは10位でフィニッシュした。

チームが最終的にポジションを戻さなかった事に腹を立てていたオコンは、順位入れ替えの指示を「意味不明」と非難し、当初は拒否しつつも最終的に従った自身を「ナイスガイ」と呼んだ。

レースを終えたガスリーは、今シーズン初めてチームとしてダブルポイントを獲得した事が「何よりも重要なニュース」であり、「大きく取り上げるつもりはない」とした上で、チームオーダーについて「狙いは明確だった」と説明した。

また、当初の計画よりも遅い残り1周半でオコンが道を譲った事についてアルピーヌは、リカルドを攻略するには「あまりに遅かった」と指摘したが、ガスリーは「大騒ぎする話じゃない」と述べ、話題化する事を極力避けようとした。

「ハードタイヤを履いた僕の方が速く、僕はダニエルの背後にいた。その後、ダニエルがエステバンを抜いた事で、もう一台のクルマ(オコンの事)がすぐに僕を前に出し、最後の4周でDRSを使ってダニエルにオーバーテイクを仕掛ける事になった」とガスリーは語る。

「思っていたより(オコンにポジションを譲ってもらうのに)時間がかかったけど、正直なところ、大騒ぎするほどのことじゃない」

「残り2周でダニエルのDRS圏内に入って、なおかつ仕留めなきゃならなかったのは厄介だった。残り2周じゃ厳しい。もう少し(順位の交換が)早ければ、DRSを使ってもう少しばかりチャンスを得る事ができたかもしれない」

「でも、正直なところ、大したことじゃない。それでもなお今日は素晴らしいチームワークを発揮できたと僕は思う。2台でタイヤを分け、僕はハードを履き、有益なデータも収集できたしね」

アルピーヌはチームオーダー発動の理由として、パワーユニットの問題と疑われる理由によってオコンのパフォーマンスが低下していた事を挙げ、最終的にポジションを返上するようガスリーに指示しなかったのは、後方からヒュルケンベルグが迫っていたため、リスクが高すぎたせいだと説明した。

ガスリーに道を譲った後、オコンの後方1秒以内にはニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)が迫っていた。順位を戻そうとすればダブル入賞が脅かされるリスクがあった。ヒュルケンベルグはオコンの僅か0.5秒後方でフィニッシュした。

ジル・ビルヌーブ・サーキットでの週末を経てアルピーヌはウィリアムズを抜いてコンストラクターズ選手権8位に浮上した。


2024年F1第9戦カナダGPでは、2番グリッドからスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季6勝目を上げた。2位はランド・ノリス(マクラーレン)、3位表彰台にはジョージ・ラッセル(メルセデス)が滑り込んだ。

カタロニア・サーキットを舞台とする次戦スペインGPは6月21日のフリー走行1で幕を開ける。

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