ヒュルケンベルグ、ブランク2年「最近レースしたかって?ゼロだよ!」緊急招集で僚友ストロールにコンマ1秒差
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ニコ・ヒュルケンベルグはF1バーレーンGPの初日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染したセバスチャン・ベッテルの代役としてAMR22を初めてドライブし、僚友ランス・ストロールからコンマ1秒落ちのタイムを刻んだ。
確かにストロールは計測ラップのターン11でミスを喫してタイムを大きく失ってはいるが、それでもなおヒュルケンベルグが非常に印象的な走りを見せた事に変わりはなかった。
ベッテルの欠場に伴いヒュルケンベルグがアストンマーチンからの緊急招集の電話を受けたのは開幕前日の木曜の事だった。
「昨日の朝、ベッドで寝ていたら呼び出されてね。この24時間の間の出来事さ。知らせを受けて、荷物をまとめて、出発したんだ」とヒュルケンベルグは経緯を明かした。
「プレシーズンテストでクルマをドライブしていたわけじゃないし、おそらく錆を落とすのに何周か掛かるだろうから、ゆっくり時間をかけて慣れていくつもりだ」
ヒュルケンベルグはAMR22のステアリングを握った事がないだけでなく、実戦はコロナ感染のストロールに代わって参戦した2020年のニュルブルクリンクでのF1アイフェルGP以来、2年ぶりだ。
34歳のドイツ人ドライバーは週末を前に、最近何らかのシリーズや選手権に出場したかと問われると「シミュレーターだけだよ。アストンのシミュレーター。それしかドライブしてないんだ。リアルなレース、現実のレース?ゼロだよ!」と答えた。
シミュレーターで走ったのは合計で100周にも満たない。更にフィジカル的にも準備は出来ておらず、2022年のマシンはヒュルケンベルグが現役だった頃のものとは全くの別物だ。
「マシンとのハーモニーを得るためには、もう一度感覚を取り戻さなきゃならないし、身体的にも整っちゃいないから課題はたくさんある」とヒュルケンベルグは語る。
「今日は何しろ情報過多になるだろうから、兎に角クルマに乗って徐々にスピードを上げていき、感触を掴んでいくことになると思う」
「ただ一つ言えるのは、僕は以前にも同じことをやっているから何を期待すべきなのかは分かってる」
「ガレージに入ること、クルマに乗ることがどういうことかは分かってるし、その経験もある。それが助けになるのは確かだ。前回カムバックした際は、当時のクルマがどんなもので、どんなものが得られるかを多少なりとも知っていた事が僕のメリットだった」
「とにかく今はクルマをドライブして感触を確かめ、できるだけ早く学ぶことが必要だ。決して楽な状況じゃないね」
ヒュルケンベルグはこの日、2回のセッションを通して51周を走り込んだ。チームメイトがFP2に向けて0.856秒自己ベストを上げたのに対し、ヒュルケンベルグは1.754秒を縮めた。最速を刻んだマックス・フェルスタッペンから2.1秒落ちというのは立派と言う他にない。
セッションを振り返ったヒュルケンベルグは、走行を前にスイスの自宅で自己隔離中とみられるベッテルからアドバイスをもらった事を明かした。
「今日は僕にとって前向きな1日になったと思う。徐々にスピードを上げていく事が全てだった」
「昨日セバスチャンと話をして、彼からフィードバックと洞察をもらったんだ。そのおかげでクルマに乗り込む前に幾らか準備を整える事ができて良かった」
「でも、特にタイヤのフィーリングやブレーキングなんかについては、あまりの違いに驚いたよ」
「とは言え、クルマの感触には手応えを得たし、走るたびに良い感触を得る事ができて満足している」
「常に改善の余地があるから、明日も前進するために努力を続けていくつもりだ。今週末は良いチャレンジになりそうだし、兎に角、全てのラップを楽しみたいと思ってる」