波乱…王者2名を含む3台DNF、病み上がりのサインツ優勝!角田裕毅は今季初入賞 / F1オーストラリアGP 2024 《決勝》結果と詳報

表彰台の上で勝利の美酒を味わうカルロス・サインツ(フェラーリ)、2024年3月24日F1オーストラリアGPcopyright FORMULA 1

2024年FIA-F1世界選手権第3戦オーストラリアGPの決勝が3月24日(日)にアルバート・パーク・サーキットで行われ、予選2番グリッドのカルロス・サインツがキャリア通算3勝目を上げた。角田裕毅(RB)は8位でフィニッシュ。今季初入賞を飾った。

2名のF1ワールドチャンピオンを含む3台がリタイヤを余儀なくされ、2度に渡ってバーチャル・セーフティーカー(VSC)が導入される波乱のレースとなった。

ポールシッターのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は右リアブレーキにトラブルを抱えて1周目にサインツに追い抜きを許すと、白煙と炎を上げて4周目にクルマをガレージに入れた。

ルイス・ハミルトン(メルセデス)はパワーユニットのトラブルに見舞われ17周目にコース脇にクルマを停めた。僚友ジョージ・ラッセルはフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)を追撃する最中、ダウンフォースを失い、最終周を2周後に控えてクラッシュを喫した。

2.3秒遅れの2番手にシャルル・ルクレールが続いた事で、スクーデリア・フェラーリは通算86回目の1-2フィニッシュを果たした。

サインツは2週間前の前戦サウジアラビアGPを虫垂炎のために欠場。手術と療養を余儀なくされた事で、トレーニングを含めた準備が殆どできないままにメルボルン入りした。

ウィナーインタビューに応えたサインツは「特に身体的には楽じゃなかった」と認めつつも、全てをコントロールできたと話し、他のドライバーに対して「虫垂炎の手術を受けるよう勧めるよ!」と冗談を飛ばした。

フェラーリ勢に続いたのはマクラーレンの2台だった。ランド・ノリスは3位表彰台に上がり、母国レースのオスカー・ピアストリはチームメイトから36秒遅れの4位フィニッシュを果たした。

予選3番手のセルジオ・ペレスは、ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)に対する走行妨害のペナルティとして3グリッド降格の6番手からスタート。レッドブルの期待を一手に背負い、28周目にアロンソを交わして5番手に浮上したが、これ以上の前進は叶わなかった。アロンソが6位、チームメイトのランス・ストロールが7位に続いた。

前日の予選で8番手を獲得して偶数列に並んだ角田裕毅は、蹴り出しで遅れてストロールにポジションを奪われ、9番手に後退する形でレースをスタートさせた。ただ、その後はまずまずのレースペースを刻み、ライバル3台の不運にも後押しされ8位でフィニッシュ。今季初のポイントをRBに持ち帰った。

最後尾18番グリッドに着いたチームメイトのダニエル・リカルドは、一発逆転のソフトスタートを選択するも直接的に成果を上げる事はできず、後半の2スティントで難しいタイヤマネジメントを強いられ12位で母国レースを終えた。

小松礼雄体制下のハースは中団チームとしては唯一、ダブルポイントを持ち帰った。ヒュルケンベルグは9位、ケビン・マグヌッセンはアレックス・アルボン(ウィリアムズ)を0.9秒差で振り切り10位に滑り込んだ。

レース概要

決勝は日本時間24日(日)13時にブラックアウトを迎え、1周5,278mのコースを58周する事で争われた。現地メルボルンは晴れ、チャンピオンシップポイントを争うレースのフォーメーションラップは気温20℃、路面39℃のドライコンディションで開始された。

公式タイヤサプライヤーのピレリは最も柔らかいレンジのC3からC5までのコンパウンドを投入。10番グリッドのアロンソと16番グリッドのヒュルケンベルグはハードを、大部分はミディアムを履いてグリッドに着いた。

Courtesy Of Formula1 Data

首位を維持してアルバート・パーク・サーキットのターン1にアプローチするマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2024年3月24日F1オーストラリアGP決勝レーススタート直後の様子

11番グリッドのハミルトンと最後尾18番グリッドのリカルド、パルクフェルメ規定違反によるピットスタートの周冠宇(ザウバー)はソフトを選択した。ハミルトンだけは1つポジションを上げたが、他はポジションを上げる事ができなかった。

Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2024年3月24日F1オーストラリアGPドライバー別タイヤ戦略

Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2024年3月24日F1オーストラリアGP決勝における気温及び路面温度の変化

連勝街道まっしぐらのフェルスタッペンが早々に姿を消すというドラマチックな幕開けを経て、最初にピットストップに動いたのはリカルドだった。ソフトスタート戦略は功を奏さず、6周目にタイヤを交換した。

ハミルトンは8周目にピットストップを実施。2周遅れでタイヤ交換した角田裕毅をアンダーカットするも、17周目に最終セクターでクルマを止めリタイヤした。メルセデスはパワーユニットにトラブルが発生したと説明した。

VSCが導入され、第1スティントを引っ張っていたドライバーにチャンスが到来した。不運にもラップリーダーのサインツはこの直前に交換を行った。アロンソ、ヒュルケンベルグ、ガスリーの3台は10秒ほどのアドバンテージを得てタイヤ交換義務を消化した。

29周目、マクラーレンはチームオーダーを発動。母国レースのピアストリに対し、よりフレッシュなタイヤを履くチームメイトを先行させた。ノリスは2位表彰台を目指してルクレールよりコンマ2秒速いペースを刻みギャップを縮めていったが、脅かすには至らなかった。

37周目、8番手を走行していた角田裕毅が2回目のピットストップを行い10番手でコースに復帰した。前をゆくストロールはその2周後にピットストップを行い、アンダーカットを防いで角田裕毅の前方2.2秒の位置でコースに戻った。

ピアストリは最終2番目のコーナーで芝生に飛び出した後、約4秒を費やして新品タイヤに交換。一旦はラッセルにポジションを奪われたが、すぐにコース上で抜き返した。

サインツはタイヤを上手くマネジメントして第2スティントも長く引っ張り、41周目にハードタイヤに履き替えると、リーダーの座を維持したままコースに戻った。

メルセデスは1ストッパーへの変更を検討したが、46周目にラッセルをピットに呼び、ハードタイヤを履かせて7番手でコースに送り出した。

ピエール・ガスリー(アルピーヌ)は前日に続き、ピット出口のラインを跨いでコースに入ったとして5秒ペナルティを受け13位でフィニッシュした。

2024年F1第3戦オーストラリアGP決勝リザルト

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 55 カルロス・サインツ フェラーリ 58 1:20:26.843 25
2 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 58 +2.366s 19
3 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 58 +5.904s 15
4 81 オスカー・ピアストリ マクラーレン・メルセデス 58 +35.770s 12
5 11 セルジオ・ペレス レッドブル・ホンダRBPT 58 +56.309s 10
6 14 フェルナンド・アロンソ アストンマーチン・メルセデス 58 +80.992s 8
7 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 58 +93.222s 6
8 22 角田裕毅 RB ホンダRBPT 58 +95.601s 4
9 27 ニコ・ヒュルケンベルグ ハース・フェラーリ 58 +104.553s 2
10 20 ケビン・マグヌッセン ハース・フェラーリ 57 +1 lap 1
11 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 57 +1 lap 0
12 3 ダニエル・リカルド RB ホンダRBPT 57 +1 lap 0
13 10 ピエール・ガスリー アルピーヌ・ルノー 57 +1 lap 0
14 77 バルテリ・ボッタス ザウバー・フェラーリ 57 +1 lap 0
15 24 周冠宇 ザウバー・フェラーリ 57 +1 lap 0
16 31 エステバン・オコン アルピーヌ・ルノー 57 +1 lap 0
17 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 56 DNF 0
NC 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 15 DNF 0
NC 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 3 DNF 0

コンディション

天気晴れ
気温20℃
路面温度39℃
周回数58

セッション概要

グランプリ名 F1オーストラリアGP
レース種別 決勝
レース開始日時

サーキット

名称 アルバート・パーク・サーキット
設立 1996年
全長 5278m
コーナー数 14
周回方向 時計回り

F1オーストラリアGP特集

この記事をシェアする

関連記事

モバイルバージョンを終了