アロンソ、”友人”の悲劇に心痛める「ルマンでの勝利に相応しいのは僕らじゃない」

ウイニングランを行うトヨタ TS050 HYBRID 8号車、2019年ル・マン24時間レースにてcopyright TOYOTA MOTOR CORPORATION

中嶋一貴とセバスチャン・ブエミと共にトヨタ TS050 HYBRID 8号車を駆り、第87回ル・マン24時間耐久レースを制したフェルナンド・アロンソは「勝利に相応しいのは僕らではなかった」と語り、チームメイトというだけでなく”友人”でもある7号車のドライバー達に同情した。

ポールポジションから24時間に挑んだ小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスが駆る7号車は、セーフティーカーのタイミングの妙もあり、何度か2位に後退する場面はあったものの、一貫して8号車よりも速いペースを示し続け、23時間に渡ってレースを支配していた。

ところが、残り1時間を切ったところでセンサーが右フロントタイヤのパンクを検知。やむを得ず予定外のピットストップを行い、右フロントのタイヤ交換を終えてコースに復帰するも、トラブルが解消されなかったため、スローダウン走行で再びピットへと向かい、今度は4輪全てを交換した。

細々と積み重ねてきたギャップは一瞬で消え去り、中嶋一貴がドライブする8号車が、ロペスの駆る7号車を追い抜き順位が逆転。不必要に2度も緊急ピットインを強いられたのは、センサートラブルが原因だった。実際に問題があったのは、右フロントではなく左リアだった。

「完全に予想外だった」とアロンソ。「僕らには24時間を通して勝利に足るだけのペースがなかったからね。7号車ほど速くなかったし、僕らがコース上での勝利に相応しくなかったのは明らかだ。運が良かっただけさ。でも運というのは、モータースポーツにおいて本当に大きな要因だ」

トヨタにとってこの悲劇はデジャブだった。2016年の第84回大会では、トヨタ悲願の総合初優勝を99%手中に収めていた中嶋一貴のドライブする5号車が、残り後3分のところでエンジンパワーをロス。唖然とする大観衆が立ち尽くすホームストレートで息絶え、ポルシェ2号車が勝利をかっさらった。あの絶望とも言えるシーンを、アロンソは当時テレビで観戦していた。

「一貴が2016年のレース終了1分前にマシンストップしたよね。あの時僕はテレビでその様子を見ていたんだ。あのような状況に置かれたら、一体何が出来るだろうか。言葉にならない位に辛い」

「残念なことに、僕も似たような瞬間を何度か経験してきた。F1でチャンピオンシップを争っていた2007年のマクラーレンの時や、2010年と2012年のフェラーリ時にね」

「最後の最後に自分の仕事をやり終えられないなんて最悪の気分だろうし、僕としても悲しくなる。彼らはただ単にチームメイトというだけでなく、友人でもあるから尚更だ。今日の彼らは勝利に相応しかった」

戦友の悲劇によってアロンソと中嶋一貴、そしてブエミは、FIA世界耐久LMPドライバーチャンピオンに輝いた。アロンソにとっては2度のF1タイトルに加えて、3つ目の世界選手権制覇の称号が加わった。

「でも、ル・マンでのレースは僕らを勝者に選んだ。だから僕はそれを受け入れる。僕らの目標はワールドチャンピオンになる事だった。本当に誇らしく思う。長いスーパーシーズンだった」

「去年はルマンだけじゃなく、F1とWECの両方にフル参戦していたから本当に大変だった。F1以外の世界タイトルを目指して競い合ってみたかったんだ。そして今日、その夢が叶った。だから僕らはそれを受け入れる」

この記事をシェアする

関連記事

モバイルバージョンを終了