ウィリアムズを倒して引退の恩師トストを笑顔にしたい、と角田裕毅…大規模アップグレードで逆転へ
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角田裕毅(アルファタウリ)は、恩師とも言うべきチーム代表のフランツ・トストにとってのラストレースとなる今週末のアブダビGPで、ウィリアムズを逆転すべく持てる全てをなげうつ覚悟だ。
2006年のスクーデリア・トロロッソ設立以来、17年に渡って伊ファエンツァのチームを率いてきた67歳の指揮官は2023年末を以てチーム代表の座を退く。アブダビGPはトストにとって、チーム代表として臨むキャリア最後のレースとなる。
トストは角田裕毅にとって、全力で自身をサポートしてくれる父のような、あるいは祖父のような存在であり、相次ぐクラッシュやミスにより批判を浴びた時期においてさえ、自身の「速さを信頼し続けてくれた」F1パドックにおける最大の理解者の一人だった。
アブダビGPの開幕に先立ち角田裕毅は「フランツ・トストは僕にとってF1で一緒に仕事をした唯一の上司です。今年は彼のために戦ってきたように感じます。チーム代表としての彼にとっての最後のレースで、彼のために何としてもウィリアムズを倒したいと思っています」と語った。
「彼がいなければ僕はここでレースをしていなかったでしょうし、彼のアドバイスがなければ、これほどの進歩はなかったはずで、彼がしてくれた事に感謝しています。いい形でシーズンを終えて、彼を笑顔にできればと思っています」
前戦ラスベガスGPでアルファタウリの2台は「週末を通してウォームアップとグレイニングというタイヤの問題」に悩まされたが、角田裕毅は「ヤス・マリーナ・サーキットでは数年前に4位でフィニッシュした事もありますし、アブダビGPに向けては前向きに感じています」と楽観的だ。
「ベガスではポイントを獲得できませんでしたが、それはウィリアムズも同じで、コンストラクターズ選手権争いはまだ続いており、依然として7ポイント差である事に変わりはありません」
「コースレイアウトが改修されたとは言え、依然としてオーバーテイクは楽ではないので、ここでは予選がかなり重要です。クルマに競争力があることを期待していますし、コンディション的には暖かいので、ラスベガスでの苦戦の原因となったタイヤのウォームアップに関する問題が出ないことを祈っています」
「週末を通して全てをまとめ上げてクルマからパフォーマンスを絞り出し、あらゆるチャンスを最大限に生かすことが重要だと思います」
7ポイント差というのは控えめに言っても途方もなく大きなギャップだ。実際アルファタウリは今年、1つの週末に7ポイント以上を持ち帰った事が一度もない。
ただ、最終戦にも関わらずアルファタウリはヤス・マリーナ・サーキットに大規模なアップグレードを持ち込む計画だ。これはアブダビのみならず2024年型のマシン開発を念頭に置いたもので、新型フロアが含まれるとみられている。
角田裕毅は「かなりの数のアップグレード」が予定されている事を明かし、「これは最終戦にというだけでなく、来シーズンにも役立つはずなので、どのような効果をもたらすのかを確認する事が重要です」と付け加えた。
米国大陸での怒涛の3連戦を含め、シーズン後半は特に慌ただしいスケジュールが続いた。先週末のラスベガスとアブダビとの時差はキッカリ12時間と、体内時計を整えるのも一苦労だ。
角田裕毅は「かなり疲れている」と認めつつも、「いつものように100%を出し尽くすつもりです。アブダビでは残っているエネルギーをすべて使い切るつもりです」と述べ、シーズンを最高の形で締め括るべく全力を尽くすと誓った。
舞台となるのは2021年の大改修でコーナー数が21から16に削減されるなどして高速化したヤス・マリーナ・サーキットだ。2022年のF1アブダビGPでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が年間最多優勝記録を15回に更新する形で幕を下ろした。セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)は入賞で有終の美を飾った。
F1アブダビGPは日本時間11月24日(金)18時30分からのフリー走行1で幕を開ける。予選と決勝を含めた全セッションはDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。