ペースだけじゃどうにも…”無理難題”の解決を戦略に求めたアルファタウリ、決定の背景を説明
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F1アブダビGPでの戦略についてアルファタウリのチーフ・レースエンジニアを務めるジョナサン・エドルズは、逆転のコンストラクターズ選手権7位という「無理難題」を達成するうえで、ほぼ唯一の希望だったと説明した。
6番グリッドに着いた角田裕毅はトップ10フィニッシャーの中で唯一、1ストップ戦略を採った。対して15番手からのスタート早々にフロントのブレーキダクトに捨てバイザーが詰まる不運に見舞われたダニエル・リカルドは2ストッパーを決行した。
残念ながらリカルドはポイント圏外11位に終わり、角田裕毅も8位と目標に届かなかったため、アルファタウリは2023年シーズンをランキング8位で終えた。
58周のシーズン最終戦を経てエドルズは「レースに向けてはウィリアムズに8ポイント差をつけてコンストラクターズ選手権7位を獲得することが目標だった。そのためには1台のクルマで6位以上、2台のクルマで7位と9位を獲得する必要があった」と振り返った。
「ユーキのスタートポジションを考えると、後ろに速いクルマが3台もいたのだから、これは無理難題だった」
「ペースだけで結果を出すのは難しいと考えていたため、戦略で何とかしようとした。最初のスティントでタイヤの状態が良かったため、我々はユーキの1ストップを狙った」
「ブレーキダクトに捨てバイザーが詰まっていた疑いがあったため、我々はダニエルをアグレッシブな2ストップに変更した」
チーム代表を務めるフランツ・トストは角田裕毅を1ストッパーとしたのは誤りで、2ストッパーであれば6位入賞の可能性があったとの考えを示したが、エドルズは見解はこれとは異なる。
「両ドライバーともレースを通して素晴らしい仕事をしてくれたが、結果的に言えば、必要なポイントを獲得するに十分なペースがなかった。どんな戦略を選んだとしても、ウィリアムズを追い抜くには十分ではなかっただろう」とエドルズは語る。
「シーズンが終わって誰もがホッとしていると思う。だが我々のチームは誰もが、もう1レースやりたかったと考えているだろう!」
「長いシーズンだった。序盤はグリッドで最も遅いクルマのひとつだった。ビスターとファエンツァの誰もが決して諦めず、懸命に開発を推し進めて競争力を向上させてくれたおかげで、我々は5番目から6番目のクルマでシーズンを終えることができた」
「フランツにとってはチームを率いる最後のレースとなったが、我々の誰もがフランツのために働けたことを誇りに思っている。フランツほどコースを愛し、レースに対して情熱的な人物に会ったことはない。本当に寂しくなる。彼の今後の活躍を祈っている」
11月26日(日)にヤス・マリーナ・サーキットで行われた2023年F1第23戦アブダビGP決勝レースでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポール・トゥ・ウインを以て今季19勝目を挙げ、記録ずくめの支配的なシーズンを締め括った。
ポストシーズン・テストと、プレシーズン・テストを経て、2024年シーズンは97日後にバーレーンで開幕を迎える。