1年以上空席だったF1空力部門の責任者、”密か”に任命していたウィリアムズ
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ウィリアムズが密かに、F1空力部門の責任者にアダム・ケニオン(Adam Kenyon)を任命していたことが分かった。技術部門におけるこの重要なポストは1年以上に渡って空席だった。
前任のデビッド・ウィーターが英グローブのチームを去ったのは、CEO兼チーム代表のヨースト・カピートと、”FX”ことフランソワ=グザビエ・ドゥメゾンの同時退社が発表された2022年後半のことだった。
ウィーターはその後、エアロダイナミクス担当テクニカル・ディレクターとしてアルピーヌに移籍したが、ウィリアムズはウィーターの後任不在の状況で2023年シーズンを終えた。
F1チームは通常、上級スタッフに関わる人事をプレスリリースで広く告知するが、ウィリアムズは一切、公にすることなく2024年3月にケニオンをエアロ部門の責任者に任命した。
ケニオンは2008年にCFD(数値流体力学)エンジニアとしてレッドブルに入社。モータースポーツのキャリアをスタートさせると、2011年にCFDエアロダイナミシストとしてロータスに移籍した。
2013年以降はメルセデスで過ごし、2018年に空力部門リーダーに就任。2021年に空力力学部門の責任者としてウィリアムズに移籍すると、チーフ・エアロダイナミストを経て今年3月に空力部門の責任者に任命された。
メルセデス時代の同僚、ケニオンの人事についてチーム代表を務めるジェームズ・ヴァウルズはF1公式サイトとのインタビューの中で「大々的に発表」していないと認めたうえで、今年3月にエアロダイナミクス部門のトップに任命したと明かした。
ヴァウルズは前職のケニオンを「類まれなチーフエアロダイナミシスト」と評し、以前から空力部門のトップを任せる予定であったとして、「多大な負担が係るポストだから、彼がそれをきちんとこなせるかどうかを確認したかった」と説明した。
「彼はその役割を立派にこなしてくれている。彼が組織を再編し、優れた人材を確保し、既存の優れた人材を活用してくれていることで我々は、1年ではなく3年、4年先を見据えることができるようになった。これは以前とは大きく異なる点だ」
「我々は彼を中心にチームを強化している」
ケニオンの昇進は、グローブのチームの復権に向けたヴァウルズおよび最高技術責任者(CTO)を務めるパット・フライが主導する広範な取り組みの一環に過ぎない。
ヴァウルズは前戦カナダGPの週末、その才能がパドックで広く認められている何名かの「ビッグネーム」が技術部門や空力部門に加わる予定だと明かしている。