フェルスタッペンは何故物議を醸してしまうのか? リカルドが明かす問題の本質
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レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは、シャルル・ルクレールと共に今後のF1を背負って立つドライバーの一人であると広く考えられているが、その一方でF1デビューして5年が過ぎてなお、時に熱を帯びすぎて無謀とも暴れん坊とも呼ばれ、最も物議を醸す人物でもある。
今後も破られぬであろう17歳という若さで史上最年少F1デビューを果たしたオランダ人ドライバーは、参戦初年度に多量のペナルティポイントを科され、翌シーズン序盤は出場停止を気にしながらのレースを強いられるも、2016年シーズンの途中でレッドブルへと移籍。瞬く間に最速ドライバーの1人としての評判を高めた。
だが同時に、最も無謀なドライバーという負の名声も確立していった。それは22歳となった昨シーズンも変わらず、昨年のメキシコGPでのレース後会見では、ルイス・ハミルトンやセバスチャン・ベッテル、バルテリ・ボッタスが、フェルスタッペンのリスキーなドライビングを批判した。
何故フェルスタッペンは物議を醸すのか?ある者は「DNAのせいだ」と言うかもしれない。父ヨス・フェルスタッペンは度々暴行沙汰で誌面を賑わせ、有罪判決を受けたことも一度や二度ではない。だが、チームメイトとして時に軋轢を抱えながらも年下のやんちゃ坊主を見守ってきたダニエル・リカルドは、そうは考えていない。
母国オーストラリアの農場で自己隔離中のリカルドは、フェルスタッペンが「分別のないドライバー」だとみなされてしまう問題の本質を、ポッドキャスト「ハウィー・ゲームズ」の中で次のように説明した。
「彼は他人が自分の事をどう思っているかなんてお構いなしだったし、レッドブルが何百万ドルもかけて作り上げたマシンを大事に乗るってニュアンスも気にしちゃいなかったし、F1ドライバーは何百人もの従業員を擁するチームの顔であり、2時間程のレースの最中に起こる事以上に遥かに多くの責任を背負っているという事も気にしてなかった」
「当時はまだ若かったせいもあると思う。少し未熟だったんだ。でも良い面もあった」
「彼は本当に何も気にかけていなかったし、人を困らせることやリスクについても気にしていなかった。”僕はただそこに行って全力でドライブするだけだ”って感じだったんだ」
「おそらく彼は、責任の重さを理解していなかったんだと思う。だから彼は自由な発想でレースをしていて、それが何度か上手くいったんだ」
© Getty Images / Red Bull Content Pool、F1アゼルバイジャンGPで激しいチーム内バトルを繰り広げるリカルドとフェルスタッペン
「彼がチームに加わった初日のことだけど、彼はピットから出てきて、マシンをボロボロにして帰ってきた。クルマを傷つけないようにしなきゃなんて発想はなかった」
「ゼロか100かなんだ。でもクールだったよ。僕の場合は長い時間を掛けて築き上げていっていたし、時にマシンに対して優しすぎるところがあったからね」
リカルドはフェルスタッペンと過ごした3シーズンの内、2016年と2017年でチームメイトを下したが、2018年シーズンはルノー製F1パワーユニットの信頼性不足のために計6度ものリタイヤを強いられた事が大きく響き、チャンピオンシップで79点ビハインドに終わり、翌2019年シーズンにルノーへと移籍した。