角田裕毅、開幕戦を前に僚友ガスリーから学んだ「条件に応じた走り方の使い分け」とは?

アルファタウリ・ホンダの角田裕毅、2021年2月24日イモラ・サーキットでのフィルミングデーにてCourtesy Of Red Bull Content Pool

アルファタウリ・ホンダの新車「AT02」やコース、実戦を想定したレースシミュレーションなど、角田裕毅は3日間に渡ったF1公式プレシーズンテストを通じて様々な事を学び、デビュー戦に向けて血肉とした。

ドライビングという点で参考になるのは、同じマシンに乗るチームメイトのピエール・ガスリーだ。角田裕毅はデータロガーやオンボード映像を通して自身の走りと比較する事で、タイヤマネジメントや縁石の使い方など多くを学んだ。

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アルファタウリ・ホンダAT02を走らせる角田裕毅、2021年3月12日バーレーンテストにて

テストを終えて英国ミルトンキーンズの住まいに戻った角田裕毅は、ガスリーから学んだ中で最も参考になったのは「コンディションに応じて走り方を使い分ける事でタイムを出しにいく方法」だと説明した。

周囲に遮るものがない砂漠の只中にあるバーレーン・インターナショナル・サーキットは、角田裕毅がこれまでテストを行ってきたイモラやミサノとは異なり風が強い。

”空力マシン”との呼称が象徴的であるように、現行F1マシンは風に対して非常に繊細で、風向きによってバランスや挙動が大きく異るため、アクセルワークやブレーキングなどをコーナー毎に変える必要がある。

具体的にはどういう事なのか?角田裕毅は次のように例を上げて説明した。

「例えばコーナー進入から中間地点までは向かい風で、脱出に向けて追い風が吹いているコーナーの場合、進入時は(ダウンフォースが得られる)向かい風を利用して勢い良くアプローチし、出口に向けては(ダウンフォースが失われる追い風を念頭に)アクセルワークに気をつける事が必要です」

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アルファタウリ・ホンダの角田裕毅とピエール・ガスリー、2021年3月12日バーレーン・インターナショナル・サーキットにて

こうした学びの積み重ねの一つの結果として、角田裕毅は最終日の午後のセッションで3日間通しでの総合2番手タイムを記録。パドックを驚かせた。

角田裕毅はこれについて、各々のチームが異なるプログラムに取り組んでいるためタイムシートに意味はないとしながらも「素直に自信に繋がりました」と手応えを伺わせた。

上々のラップタイムは角田裕毅本人だけでなく、新車「AT02」の仕上がりの良さを感じさせる。2020年型の「AT01」と比較して何が変わったのだろうか?

角田裕毅は昨年末のアブダビ若手テストでAT01をドライブしているが、アブダビとバーレーンとでは諸条件が大きく異るため「比較は難しい」としながらも、最も変わったものとして「ステアリング」を挙げた。

角田裕毅が昨年戦っていたF2と異なり、F1はパワステを採用している。曰くパワステだと「タイヤのグリップやダウンフォースレベルが感じ取りづらい」との事だが、AT02のシェイクダウンに際して「ポジティブな違い」を感じたという。

また、フロアやリアブレーキダクト、ディフューザーに関する規約変更に伴い、今季型は昨年型よりもダウンフォースが減少しているわけだが、角田裕毅は「アップデートでカバーできている」と述べ、感触は悪くなく乗りやすいマシンに仕上がっていると明かした。

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モニターを見ながらエンジニアと話をするアルファタウリ・ホンダの角田裕毅、2021年3月12日バーレーンテスト初日

今年は例年とは異なり、プレシーズンテストと開幕戦の舞台が同じバーレーンとなる。つまり、テストで得たものが直接的に開幕戦のリザルトに影響を及ぼすという事だ。

バーレーン特有の風の活かし方をガスリーから学び、タイムシート2番手につけた角田裕毅の活躍が期待される。

F1バーレーンGP特集

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