45分のパワーナップ、ラッセルにポールを授ける。ベガス特有の過酷な日程、対サインツの勝敗を分けたのは睡眠戦略だった?

ピットレーンに立つ予選2番手のカルロス・サインツ(フェラーリ)とポールポジションのジョージ・ラッセル(メルセデス)、2024年11月22日(金) F1ラスベガスGP(ラスベガス市街地コース)Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

レッドブルはマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスに適切なドラッグレベルの翼を授けなかったが、45分間のパワーナップはジョージ・ラッセル(メルセデス)にポールポジションを授けたようだ。

1週間で”デイ”から”ナイト”へ

2024年F1ラスベガスGP予選で今季3回目、メルセデスにとって7月のイギリスGP以来となるポールを獲得したラッセルは、過酷なスケジュールの中で取った45分間のパワーナップが助けになったと明かした。

パワーナップ(短時間の仮眠)は、通常の睡眠に比べて3~5倍の回復効果があるともされており、アスリートのパフォーマンス向上や疲労回復の手段として広く活用されている。

通常通りの日中スケジュールで組まれた前戦サンパウロGPから1週間。ベガスの予選は現地時間22時に開始され、多くのドライバーが時差ぼけや睡眠リズムの乱れに苦労している状況だった。

「時差があると、8時間の睡眠をとるのが難しい。だから僕は寝れる時に寝るようにしてる。今日は予選前に少し仮眠を取ったんだ」とラッセルは振り返った。

「目が覚めた時は少しぼんやりしていたけど、予選の終盤に最高のコンディションに仕上がるように取り組んだ。誰もが同じ条件ではあるけど、本当に大変だ」

眠れる時に眠る!ラッセルの睡眠戦略

少し意外な気もするが、ラッセルは特にこれと言って週末のスケジュールを組まないようで、眠たくなったら寝るという、動物的なアプローチを採っている。

「(時差ボケが発生する週末の場合)普段は寝るというより瞑想することが多い」とラッセルは語る。

「目を閉じて、波の音とか呼吸の音を聞くんだ。僕にはボックス・ブリージング(息を「吸う」「止める」「吐く」「止める」の4ステップを4秒の均等間隔で行う呼吸法)みたいなやり方が合っているみたいでさ。心が落ち着いて、少しプレッシャーが和らぐんだ」

「でも、今日は45分くらい寝たよ。毎週末、その時々に合わせてる。週末のルーティンを聞かれることがあるけど、前日の睡眠状況やその時のコンディション次第で毎回、変わるんだ」

「ここラスベガスでは、ほとんど夜勤みたいな感じで本当に大変だった。僕は眠れる時に眠るようにしてる」

FP3のチェッカーフラッグから予選開始までは2時間半しかない。本当に予選を前に寝たのか?と問われると「ああ、寝たよ。体が兎に角、おかしな感じだったからね」とラッセルは答えた。

「自分の体に耳を傾けて、必要なら寝る。特にやることもなかったし、クルマの調子も良かったから、予選前にセッティングを変える必要もなかったし、寝るのが一番だったんだ」

綿密に計画を立てるサインツ

ラッセルは自身の身体の声を聞いて柔軟に対応する感覚派だが、予選2番手のカルロス・サインツ(フェラーリ)は計画派だ。

「僕は朝の4時に寝て、昼の12時に起きる。今日も12時に起きたと思う。基本的にできるだけ遅く寝るようにしている。そうしないと、一日が長くなりすぎて夜には疲れ切ってしまうんだ」とサインツは明かす。

「それと、ここにいる間は毎日、1時間ずつ睡眠時間をずらすようにしている。1時間遅く寝て、1時間遅く起きるという感じだ。明日は1時に起きる予定だよ」

「それ以外では、朝食、昼食、夕食をその日のタイムテーブルに合わせている。朝食は午後2時、昼食は午後7時、夕食はこの後、1時間か2時間後だ」

「(ナイトレースの週末としては)ちょっと変わったスケジュールかもしれないけど、僕としては、週末の重要なセッションまでは、通常の週末に近い形で1日を過ごして、同じだけの睡眠時間を確保するようにしている」

F1ラスベガスGP特集

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