感極まるハミルトン「涙が止まらない」母国で3年ぶり逆転V、角田裕毅は4戦ぶり入賞 / F1イギリスGP 2024 《決勝》結果と詳報

母国で3年ぶり優勝を果たしてユニオンジャックを掲げるルイス・ハミルトン(メルセデス)、2024年7月7日F1イギリスGPCourtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

2024 FIA-F1世界選手権第12戦イギリスGP決勝レースが現地7月7日にシルバーストン・サーキットで行われ、ルイス・ハミルトン(メルセデス)が2021年サウジアラビアGP以来となる3年ぶりのトップチェッカーを受けた。角田裕毅(RB)は10位入賞を果たした。

気紛れなブリティッシュウェザーにより、ドライ、ウェット、ドライと路面コンディションが変化した51周に渡る困難なレースを経て39歳のイギリス人ドライバーは、メルセデスと共に迎えた最後の母国レースでキャリア通算104勝目、シルバーストン通算9勝目を飾った。

ハミルトン、3年ぶりの勝利に涙

ヒーロー復活に喜ぶ母国観衆の大歓声が響く中、レースエンジニアのピーター・ボニントンから無線で「やったぞルイス! 最高だ、君は最高だ!相棒、待ちわびたよ」と祝福されるとハミルトンは涙声で「みんな…本当にありがとう。本当に嬉しい。ファンのみんなにも心から感謝している」と返した。

その後、チェッカーを受けた時の感想を求められたハミルトンは「涙が止まらない。2021年以来、毎日トレーニングに励み、この素晴らしいチームとともに全力を尽くして仕事に取り組んできた」と語った。

「これがこのチームと戦うイギリスグランプリ最後のレースだった。チームを愛し、感謝しているからこそ、チームのために勝ちたかった」

「彼らはこの何年にも渡って懸命に努力してくれた。メルセデスの全員とすべてのパートナーへの感謝を僕は永遠に忘れない」

「素晴らしいファンの皆にも感謝している。毎周、みんなの姿を見ていた。ここでトップでフィニッシュする以上の喜びはない」

ハミルトンは2024年末を以てメルセデスを去り、スクーデリア・フェラーリに移籍する。

Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

パルクフェルメに停めたマシンの中で涙するウィナーのルイス・ハミルトン(メルセデス)、2024年7月7日F1イギリスGP決勝レース(シルバーストン・サーキット)

Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

ファンに優勝トロフィーを披露するルイス・ハミルトン(メルセデス)、2024年7月7日F1イギリスGP決勝レース(シルバーストン・サーキット)

2回のピットストップを巡る難しい判断

鍵を握ったのは2回のピットストップだった。どのタイミングでスリックからインターミディエイトタイヤに切り替えるべきか。そして終盤に向けても再び、スリックへの履き替えタイミングが問われた。

ポールシッターでチームメイトのジョージ・ラッセルは序盤にレースをリードしていたものの、15周目に雨が振り始めると苦しみ出し、18周目のストウでハミルトンに追い抜きを許した。

ダウンフォースレベルを高めに設定したマクラーレンは雨の到来とともに躍動。2台揃ってコースアウトしたメルセデス勢に襲いかかり、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリは20周目に1-2体制を築いた。

しかしながらマクラーレンは戦略面でミスを犯した。上位勢がスリックからインターミディエイトに交換する際に2台をダブルスタックさせず、ステイアウトしたピアストリは6番手に後退。戦線離脱を余儀なくされた。

この直後、水温異常によりパワーユニットの損傷が懸念されたため、メルセデスは4番手を走行していたラッセルにリタイヤの指示を出した。これによりハミルトンは、ノリスとマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に対して単騎で戦うことになった。

逆にシャルル・ルクレール(フェラーリ)と、5基目のICE(内燃エンジン)投入でピットレーンからスタートしたセルジオ・ペレス(レッドブル)は、早すぎるタイミングでインターに履き替えたために、乾いた路面を麻溝タイヤで走行せざるをえず、再度のピットストップにより後方に転落した。

Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

F1イギリスGP決勝レースでのドライバー別タイヤ戦略、2024年7月7日シルバーストン・サーキット

その後、路面は終盤に向けて再び乾き始め、各チームのピットウォールはまたも難しい戦略的決定を強いられた。

38周目の終わりにハミルトンはソフトタイヤに、フェルスタッペンはハードタイヤに履き替えた。ピアストリもその後を追いすぐにミディアムを履いたが、ノリスがピットインしたのはその翌周で、選択したコンパウンドはソフトだった。これが上手く機能しなかった。

ノリスの左フロントがタレ始めるとフェルスタッペンが追い上げ、残り4周でDRSを使ってストウのアウト側からオーバーテイク。ディフェンディング王者は3.3秒前のハミルトンに照準を切り替えたが1.4秒及ばなかった。

最終スティントでミディアムを装着したピアストリはノリスより概ね1秒近く速いペースを刻んで4位でフィニッシュした。

Courtesy Of McLaren

3位フィニッシュを経て意気消沈した様子を見せるランド・ノリス(マクラーレン)、2024年7月7日(日) F1イギリスGP(シルバーストーン・サーキット)

角田裕毅はオープニングラップでポジションを2つ上げて11番手に浮上。ルクレールの転落によりポイント圏内に浮上すると、ラッセルのリタイヤを経て9番手に順位を上げた。

ただ、残り7周という終盤にアレックス・アルボン(ウィリアムズ)にオーバーテイクを許して10位でフィニッシュした。僚友ダニエル・リカルドは13位でクルマを降りた。

5基目のパワーユニット開封により最後尾に着く予定だったピエール・ガスリー(アルピーヌ)は、フォーメーションラップでギアボックスと思われるトラブルに見舞われDNSに終わった。

カルロス・サインツ(フェラーリ)はファイナルラップを前にフリーストップを利用してソフトタイヤに履き替えると、1分28秒293のファステストラップを刻んで5位でフィニッシュ。ボーナスの1点を追加した。

Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

F1イギリスGP決勝レースのコンパウンド別最多ラップと最速ラップタイム、2024年7月7日シルバーストン・サーキット

Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

F1イギリスGP決勝レースの気温及び路面温度の変化、2024年7月7日シルバーストン・サーキット

2024年F1第12戦イギリスGP決勝リザルト

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 52 1:22:27.059 25
2 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 52 +1.465s 18
3 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 52 +7.547s 15
4 81 オスカー・ピアストリ マクラーレン・メルセデス 52 +12.429s 12
5 55 カルロス・サインツ フェラーリ 52 +47.318s 11
6 27 ニコ・ヒュルケンベルグ ハース・フェラーリ 52 +55.722s 8
7 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 52 +56.569s 6
8 14 フェルナンド・アロンソ アストンマーチン・メルセデス 52 +63.577s 4
9 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 52 +68.387s 2
10 22 角田裕毅 RB ホンダRBPT 52 +79.303s 1
11 2 ローガン・サージェント ウィリアムズ・メルセデス 52 +88.960s 0
12 20 ケビン・マグヌッセン ハース・フェラーリ 52 +90.153s 0
13 3 ダニエル・リカルド RB ホンダRBPT 51 +1 lap 0
14 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 51 +1 lap 0
15 77 バルテリ・ボッタス ザウバー・フェラーリ 51 +1 lap 0
16 31 エステバン・オコン アルピーヌ・ルノー 50 +2 laps 0
17 11 セルジオ・ペレス レッドブル・ホンダRBPT 50 +2 laps 0
18 24 周冠宇 ザウバー・フェラーリ 50 +2 laps 0
NC 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 33 DNF 0
NC 10 ピエール・ガスリー アルピーヌ・ルノー 0 DNF 0

コンディション

天気晴れ
気温16℃
路面温度33℃

セッション概要

グランプリ名 F1イギリスGP
レース種別 決勝
レース開始日時

サーキット

名称 シルバーストン・サーキット
設立 1947年
全長 5891m
コーナー数 18
周回方向 時計回り

F1イギリスGP特集

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