フェルスタッペン、奇跡的な2位を可能にした戦略的決断の裏側…ペース不足の「最悪の状況」からの挽回劇

表彰台で2位トロフィーを掲げるマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2024年7月7日(日) F1イギリスGP(シルバーストーン・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

7月7日(日)のF1第12戦イギリスGPでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は一時、トップ5圏外すら覚悟しながらも、チーム共々、見事な戦略的決断を下して奇跡的な2位表彰台に上がった。

オープニングラップでランド・ノリス(マクラーレン)を攻略して3番手に浮上したまでは良かったが、ミディアムで臨んだ第1スティントはタイヤがオーバーヒートしてしまい、すぐに競争力を失った。

また、雨が降り始めた際はコース上にクルマを留めておくだけで精一杯だった。そのためフェルスタッペンは早々に、最優先事項を優勝から「生き残り」に切り替えた。

15周目にノリスにポジションを奪われると、17周目にはオスカー・ピアストリ(マクラーレン)にも追い抜きを許して5番手にまで後退。すると今後は背後にカルロス・サインツ(フェラーリ)が迫ってきた。

「カルロスまでパーティーに加わってきて、その時はホント、最悪な午後だと思った」とフェルスタッペンは振り返る。

「今日は単にペースがなかった。重要な序盤で徐々にポジションを失っていった。だから、ある時点では5位か6位で終わるかもって本気で思ってたんだ」

「1周目はそれほど悪くなかった。問題はレース中のペースだ。兎に角、ペースがなかった。他のドライバーのデグラデーションについていけなかったんだ。理由を探らないと」

Courtesy Of Red Bull Content Pool

カルロス・サインツ(フェラーリ)に追われるマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2024年7月7日(日) F1イギリスGP(シルバーストーン・サーキット)

ペース不足に苦戦しながらも、スリックからインターミディエイト、そしてインターからスリックへとタイヤを履き替えるタイミングを見誤らずに、「毎回、正しい判断」を下したことで巻き返しに成功した。

決定的だったのは最終スティントのコンパウンド選択だ。フェルスタッペンは仮にソフトタイヤを履いていれば2位はあり得なかったと考えている。

「最後にチームが、ソフトじゃなくハードを選択したことが助けになったのは間違いない。だから今日は2位でフィニッシュできたんだと思う」

「もっと悪い結果もあり得たけど、正しい判断を下した結果、表彰台に上ることができた。本当に難しいレースだっただけにホント、満足だよ」

最終スティントでソフトを選択したノリスは、残り5周で2位の座をフェルスタッペンに明け渡すこととなった。

トップチェッカーを受けたルイス・ハミルトンに1.4秒差の2位フィニッシュについてチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは「もうあと数周あったら結果は変わっていたかもしれないが、それでも素晴らしい走りだった」と語った。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

マックス・フェルスタッペンのタイヤをインターミディエイトからハードに交換するレッドブルのピットクルー、2024年7月7日F1イギリスGP決勝レース(シルバーストン・サーキット)

ピットインのタイミングについてはレースエンジニアを務めるジャンピエロ・ランビアーゼ(GP)と話し合って決定する。

「いつもGPとディスカッションして決めてるんだ」とフェルスタッペンは説明する。

「彼がレーダーで把握している情報をできるだけ詳しく教えてくれる。そして僕の方からは、スリックタイヤで走り続けられないと思った時や、インターに入るタイミングだと思った時に無線で伝える。そんな感じでやりとりしていた」

「インターからスリックへの切り替えも同じだよ。すでにスリックに履き替えたドライバーがいれば、チームが少しサポートしてくれることもある」

「でも最終的に日が差してきて、ここ数日と同じ様に路面がかなり早く乾き始めていたから、僕は少しリスクを冒すことにしたんだ」

「正しいタイミングかどうか100%の確信はなかったけど、それでも挑戦した。結果的には正しいラップでピットに入ることができた」


2024年F1第12戦イギリスGPでは、2番グリッドからスタートしたルイス・ハミルトン(メルセデス)が3年ぶりのトップチェッカーを受け通算104勝目を上げた。2位はマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3位表彰台にはランド・ノリス(マクラーレン)が続いた。

ハンガロリンクを舞台とする次戦ハンガリーGPは7月19日のフリー走行1で幕を開ける。

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