角田裕毅、上司の”過小評価”でF1マーケット注目の「ビッグ・プレイヤー」に? 移籍の可能性を巡る識者の見解
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角田裕毅(RBフォーミュラ1)がF1での5シーズン目を手にするに相応しい結果を残しているとの見方に対する異論は決して多くはないだろうが、どのチームと契約を結ぶかについては些か不透明な状況で、意見が分かれるかもしれない。
セルジオ・ペレスの残留発表間近とも伝えられるレッドブルへの昇格の可能性は乏しく、ピーター・バイエルCEOが「是非キープしたい」と強い意欲を公言している事からも、ファエンツァのチームに留まる公算は益々高まっている。
しかしながら、”キング・オブ・ミッドフィールダー”の獲得に向けてライバルチームが接触しているとも噂されており、ドライバーズマーケットの”注目株”になる可能性を指摘する声もある。
F1公式デジタル・プレゼンテーターのウィル・バクストンはモナコで、レッドブルが角田裕毅を手放すとは考えられないとしつつも、仮にシートを失えば「多くのチーム」が獲得に乗り出し、ドライバーマーケットにおける「ビッグ・プレイヤー」になるだろうと指摘した。
「彼はダニエル(リカルド)を大きく引き離している。ダニエルはマクラーレン時代に戻ってしまったようで影に隠れている。確かにマイアミでは素晴らしい瞬間があったが、それ以外は残念なシーズンを過ごしている」とバクストンは語る。
「一方でユーキは素晴らしいシーズンを過ごしている。VCARBの開発は順調で本当に堅実だ。シーズン開幕当初は5つの明確なチームがトップ10を占め、それ以外のチームがポイントを獲得するのが難しい状況だったが、VCARBはその時々によって最高の仕事をして見事にポイントを獲得してきた」
「バーレーンでチェッカーフラッグが振られた後、ダニエルの側面に接触しそうになった奇妙な瞬間を経て、ユーキは完全に別のドライバーになった。今の彼は冷静で落ち着いており、無線でも成熟した態度を見せている。見事なシーズンを送っていると思うし、来年に向けてVCARBに彼のシートがないとは考えられない」
「ただ、もしシートを失うことがあれば多くのチームがユーキを狙うだろう。彼はマーケットにおけるビッグ・プレイヤーになるはずだ。ただ、今のところ彼らが彼を手放すとは思えない」
レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは今年2月、RBのドライバー達について「チーム内で明白にシーズンを支配した者」がレッドブルへの昇格の候補になり得ると説明していた。
バクストンが指摘したように、角田裕毅が僚友ダニエル・リカルドを凌駕するパフォーマンスを発揮している事に疑いはないが、パドックで彼の昇格の可能性を見ている者は見当たらない。
30年のキャリアを持つF1ジャーナリストのアンドリュー・ベンソンは、「単に上層部が彼を高く評価していない」として、シニアチームのシートを得るために角田裕毅ができる事は「何一つない」と指摘。それが故に「ツノダはレッドブル外で仕事の機会を探している」との見解を示し、次のように指摘した。
「皮肉なことに彼は、2026年からホンダのワークスチームとなるアストンマーチンでシートを得ることはできない。フェルナンド・アロンソは新たな契約を結んだばかりだ。そしてランス・ストロールはオーナーの息子であり、どこにも行く予定がない」
「したがってツノダは、ウィリアムズ、ハース、アルピーヌなどを視野に入れており、今夏のドライバー椅子取り合戦において、その中の一つに座る可能性は十分にあるように見える」
「RBで彼がダニエル・リカルドを定期的に打ち負かし、今シーズン、何度か印象的な走りを見せていることは確かだが、これはリカルドについての疑問を増やすだけで、ツノダに対するレッドブルの見方を変えるものではない」
「現時点でリカルドは、チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーに守られており、情報筋によれば、彼がリザーブドライバーのリアム・ローソンに取って代わられることは今のところないという」
「モータースポーツ顧問のヘルムート・マルコはローソンを昇進させたいと考えているかもしれないが、彼の権力と影響力はレッドブルの内紛で失われた。セクハラや強制的、支配的な行為に関するホーナーに対する告発は内部調査を経て否定された」
「ホーナーがスタンスを変えず、ツノダが他のチームに移籍する場合、2025年のRBのラインナップがローソンとリカルドになるであろう事は想像に難くない」