角田裕毅リタイア陰謀論「無礼で敬意を欠く」アルファタウリ、強い言葉で非難
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F1オランダGPでの角田裕毅のリタイア劇を巡る陰謀論に対してスクーデリア・アルファタウリは9月5日(月)、事実無根であり容認できず、無礼で敬意を欠くものだとして強い言葉で非難した。
奇妙な経緯に飛び交う陰謀論
ザントフォールトでのレース後半、角田裕毅はクルマに異常を感じ、チームからの指示を受けターン4脇に停車した。ドライバーはタイヤが適切に取り付けられていない可能性を指摘したが、チームはタイヤが固定されている事を確認。データにも異常がなかったため再始動するよう指示を出した。
LAP 48/72
Tsunoda comes back in to the pits for running repairs before coming out again and immediately encountering problems again. He's parked up at the side of the track.
⚠️ VIRTUAL SAFETY CAR ⚠️ pic.twitter.com/iWdoYsfImt
— Formula 1 (@F1) September 4, 2022
低速でコースを進み出した角田裕毅に対し、チームはタイヤ交換のためにピットに戻るよう指示を出した。
ピットボックスでの交換作業を終えてコースに向かうべくファストレーンに出たものの、角田裕毅は問題が解消されていないと感じ、ディファレンシャル破損の可能性を指摘。その後、安全な場所で停車するようにとの指示を受け、クルマの電源を落としてリタイヤした。
レースコントロールは車両回収のためにバーチャル・セーフティーカー(VSC)を導入。このタイミングでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は後続のメルセデスに対してポジションを落とす事なくピットストップを行った。
これを受けSNS上では、フェルスタッペンに利益をもたらすための画策だったのではとの陰謀論が飛び交い、アルファタウリやレッドブルの戦略責任者を務めるハンナ・シュミッツが中傷に晒された。
メルセデスのトト・ウォルフ代表が、仮に選手権争いをする立場であれば徹底追及しただろう、と述べた事も火に油を注ぐ結果となった。
角田裕毅の所属するアルファタウリはレッドブルの姉妹チームであるため、これまでにも幾度か大なり小なり、こうした陰謀論に晒されてきた。
アルファタウリ、全面非難
決勝レースの翌日、アルファタウリは声明を発表し、不正行為との陰謀論を全面的に非難した。
「我々のチームやレッドブル・レーシングの戦略責任者であるハンナ・シュミッツに向けられた言葉やコメントを目にして非常に失望している」
「このような憎悪に満ちた行動は決して許されるものではなく、不正行為であるとの誹謗中傷も事実無根で容認できず、ハンナと我々双方に対する敬意を欠くものだ」
「我々は常に独立したチームとして、公正に、そして最高レベルの敬意とスポーツマンシップを以て競技に取り組んできた」
「ユーキは、チームが即座に発見できなかった故障を抱えたためにコース上で停止してしまった。(事実と)如何なるものであれ異なる如何なる示唆するのは無礼であり、断じて間違っている」
なお角田裕毅のリタイヤについて統括団体の国際自動車連盟(FIA)は調査の結果、ディファレンシャルに問題があったと結論付けている。
陰謀論の前提にはVSCがフェルスタッペンに対して有利に働いたとの考えがあるが、当のフェルスタッペンの見解は真逆だ。
オランダGPのウィナーはレース直後の会見の中で、VSCの導入によって使いたくなかったハードタイヤを履かざるを得ない状況に陥ったとして、角田裕毅のリタイヤに伴うVSCは自身にとって不利に働いたと振り返っている。
そもそも選手権争いで100点近いリードを持つフェルスタッペンを不正行為をしてまで勝たせる必要性は何処にもなかった。
発覚した際に失われるレッドブルという国際的メガブランドの価値を踏まえれば、根拠不在の陰謀論が如何に荒唐無稽なものであるかは明白だと言える。